しかし、目標を設定しない、与えない上司は完全に間違っている。なぜなら、目標がないことによって若者たちは「どうしたらいいか、わからない」状態から抜け出せないからだ。目的地を教えずに地図だけ渡される人の気持ち、わかるだろうか?

「ボチボチやればいいから」

「徐々にステップアップしていこう」

上司がこのように声を掛けるのはいい。しかし、これらは単なる「心掛け」「方針」だ。目標を言わずに心掛けだけを伝えても、どうすればいいかわからない。

目標には、必ず2つの要素がある。それが、

・具体的なゴールイメージ
・期限

である。資料を作ってもらうのも、お客様に電話してもらうのも、何か企画を考えてもらうのも、「いつまでに、何がどうなっていたら達成なのか?」をハッキリさせるべきだ。そうでないと、部下は迷子になってしまう。

それに仕事の依頼をする上司も、期待通りの仕事が見られなかったら、ダメ出しをするか、「ありがとう。あとはこっちでやるから」といって、見切りをつけて仕事を引き取ってしまうだろう。目標を与えていないのだから、上司の期待通りの成果を出せないのはあたりまえだ。当然、部下は気分よく仕事をすることができない。

部下を「迷子」にさせる曖昧な目標とは?

次に(2)についてだ。

曖昧な目標を言い渡すのはやめよう。

「この資料、なるはやで頼む」

「いい感じでやっておいてくれ。Bさんのやり方を真似たらいいから」

これでは、具体的なゴールイメージを持つことができない。『若者に辞められると困るので、強く言えません』にも書いた。上司の頭の中にはイメージがあっても、部下の頭にはそれがない。これを「情報の非対称性」と呼ぶ。深い霧の中で歩いていたら、誰だって気持ちが萎えてくる。そのような場所に導いたのが上司だったら、どうか? 当然、上司に対する信頼も揺らぐことだろう。曖昧な目標を言い渡すということは、そういうことだ。

また、若者に強く言えないので、優柔不断な目標を口にする上司もいる。