バブル真っ盛りに登場した三菱自動車のスーパースポーツ「GTO」。イタリア語由来の名称にエキゾチックでグラマラスなボディ、そしてパワフルなエンジンと4WDシステムを採用していた。今から見てもユニークな、その内容の理由を紹介しよう。

20〜30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。

R32型GT-RやNSXが登場した時代に

1990年10月、三菱自動車から新型車、GTOが発売となった。当時は、昭和終わりからの経済発展が最高潮に上りあがった、いわゆるバブル時代の絶頂期だ。

1989年には日産の「フェアレディZ(Z32型)」と「スカイラインGT-R(R32型)」が生まれ、翌1990年にはホンダ「NSX」、1991年にはマツダ「アンフィニRX-7(FD型)」といったスーパースポーツが、それぞれリリース。

日産「シルビア(S13型・1988年)」やトヨタ「セリカ(ST180型・1989年)」、ユーノス「ロードスター(NA型・1989年)」といった、身近なスポーツカーも続々と登場していた。GTOは、そんな中で三菱自動車が世に送り出したクルマである。

ボディサイズは全長4555mm×全幅1840mm×全高1285mmだった(写真:三菱自動車) ボディサイズは全長4555mm×全幅1840mm×全高1285mmだった(写真:三菱自動車)

GTOは、今から考えてもユニークだ。そもそも、GTOという名前からして不思議である。

この名称は「Gran Turismo Omologato」の略であり、イタリア語が由来だ。意味合いとしては「GTクラスに認証されたクルマ」で、モータースポーツ関連の言葉となる。

ところが、GTOも三菱自動車も、イタリアとは縁もゆかりもない。さらにGTOは、同時期のスカイラインGT-Rのように、レース参戦を睨んで開発されたわけでもない。あくまでも街中を走るスポーツカーとして開発されている。

そのため、ライバルの国産スーパースポーツの中で抜きんでて重かった。実に200kgも重かったのだ。レースでは、致命的な弱点となる。レースでの活躍を目論んでいたら、もっと軽量化を行ったはずだ。