[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は2日、経済見通しを巡る不確実性を踏まえ、ECBは1回の利下げごとにデータを蓄積すべきという認識を示した。

レーン氏は講演で、利下げに関する根拠のない期待をあおるのを回避する必要があるとし、参照点としてECBが四半期ごとに公表している経済見通しに言及した。

「不確実性が高い状況下において金利を決定するための堅実なアプローチは、事前のコミットメントや、将来の金利の道筋を巡る根拠のない期待の醸成を避けることだ」とし、会合ごと、経済見通しごとに金利決定に役立つデータの蓄積が重要と強調した。

また、インフレ期待が低下している中で金利を据え置くことは「実質金利の機械的な上昇」を意味するとしたほか、金融政策の波及の「ラグ」を踏まえると、過去の利上げによる引き締め効果が引き続き進行している可能性があると述べた。

同時に、利下げを急げばインフレ率を目標の2%に低下させることができない一方、利下げが遅すぎれば「中期的にインフレ率を目標以下に押し下げ、生産、雇用、投資が犠牲になるという過度な副作用が生じる可能性がある」とし、ECBは「二面的なリスク」に直面していると指摘した。