東南アジアきっての”先進国”として発展著しいシンガポール。公共交通機関をはじめとする社会インフラ整備は世界最高レベルに達しているものの、物価の上昇も著しい。

シンガポールの経済が支えられているのは、後背地にマレーシアの存在があるからだろう。毎日多くの通勤客が行き来する両国間は2本の道路と鉄道で結ばれているほか、新たにライトレールが建設中。さらに、一時計画があったものの棚上げとなったシンガポール―クアラルンプール間の高速鉄道計画も復活の動きがある。一方で、現在両国を結んでいる「世界最短の国際列車」は近い将来姿を消しそうだ。

新たな時代を迎えつつある、シンガポールとマレーシアを結ぶ交通事情の現状と未来について紹介したい。

両国を結ぶ道路は大渋滞

シンガポールとマレーシア側ジョホール州(State of Johor)の間には海峡があり、2本の道路でつながっている。1本は1923年に開通したコーズウェイ(Causeway)で、ジョホール・バル(Johor Bahru)の市街地とシンガポール側とを結んでいる。その名のように長い堤(コーズウェイ)となっており、道路と単線の鉄道が並行して通っている。

もう1本は1998年に開通したセカンドリンク(Second Link)と呼ばれる橋で、全長は2km。市街地からは離れているものの両国の高速道路と直結しており、マレーシアの首都・クアラルンプールに直行する場合などはこちらを利用することが多い。

ウッドランズ チェックポイント シンガポール側の国境検問所ウッドランズ。看板には鉄道の国境検問所(Train Checkpoint)の表示がある(筆者撮影)