中国の風力発電装置業界で過当競争が激化し、主要メーカーの業績を直撃している。

世界最大の風力発電装置メーカーである中国の金風科技(ゴールドウインド)は3月28日、2023年の通期決算を発表。同年の売上高は505億元(約1兆570億円)と前年比9%の増収だった一方、純利益は13億元(約272億1186万円)と前年比44%も減少した。

同じく3月28日に同業大手の上海電気風電が発表した決算では、2023年の売上高が101億元(約2114億円)と前年比16%減少した。純損益は12億7000万元(約265億8390万円)の赤字となり、損失額が前年の3.75倍に膨らんだ。

発電所の入札で値下げ合戦

風力発電装置メーカーの業績悪化の主因は、風力発電所の新増設プロジェクトの入札で各社が値下げ合戦を繰り広げ、落札価格が大幅に下落したことにある。なかでも陸上風力発電所向けの落札価格の落ち込みが大きく、メーカーの利益を圧迫している。

中国では風力発電所の大量建設が続いており、2023年に新増設された風力発電装置の総設備容量は過去最高の75.9GW(ギガワット)に達した。だが、風力発電装置メーカーの生産能力が需要の伸びを超えるペースで急増したため、市場拡大と過当競争が併存する状況になっている。

学術団体の中国再生可能エネルギー学会の調査データによれば、陸上用風力発電装置の2023年の平均落札価格は1kW(キロワット)当たり1500元(約3万1400円)と、前年比15%も低下した。