――作詞するときに本質としているのはどのようなものですか。

結局、人間は孤独だってことです。僕の曲は「人は孤独」という軸に対して、「孤独だよね」としんみり言うか、「いや、楽しくいこうよ」と明るく言うかのどっちかなんです。「LOVEマシーン」も「シングルベッド」も何も変わらないですよ。

「次の恋でもしてりゃ 辛くないのに」って実は前向きな言葉です。終わった恋の次を見てる。「LOVEマシーン」は日本社会がひどく落ち込んでいた時期の曲ですが、「日本の未来は(Wow Wow Wow Wow)」と笑ってごまかした。

あの頃、多くの人がめっちゃ孤独を感じてたと思う。不況が続いて、いい時代じゃなかったし、毎日いやだった。何をやってもいまいちでつまらなかった。

――時代によってどんな曲が受け入れられるかは変わるけれど根底にはつねに「人間は孤独だ」という考えがあり、そこから詞を作っていく、ということでしょうか。

そうですね。「孤独」だということに誰もがうなずけるなら、その裏返しには「誰かと居たい」「心あたたまりたい」という欲があるんだと思う。

「孤独」を歌う(作る)ことだけが僕のテーマというわけではありませんが、自分の芯たる部分が何かということを自分で知っておくことは大事です。作品がブレませんからね。自分の芯を知っているかいないかで、その作家の作品は大きく変わってくると思う。

曲でも映画でも何でも、作り手の中にどんな芯があって、その曲で何をどういうふうに言いたいかなんだと思います。

(5/5公開予定の「後編:「推し活」全盛時代に、つんく♂が思い描く未来」に続く)

著者:山本 舞衣