島根県邑南町にUターンし農業と狩猟に励む女性がいます。師匠である猟師の父親と二人三脚で、地元のジビエの美味しさを全国に届けようと奮闘しています。

島根県邑南町日和地区。豊かな自然に囲まれながら約350人が生活する小さな集落です。

山根みゆきさん
「私は大好きです、ここが。この集落が大好きです」

山根みゆきさん37歳。5年前に働いていた益田市から生まれ育った邑南町に戻り、現在は米農家の実家の手伝いをしています。

山根みゆきさん
「ここもここもうちの田んぼです。あっちもです」

そんな山根さんにはもう一つの顔が…。イノシシやシカを狩る「猟師」です。

山根みゆきさん
「猟師を始めた理由…鳥獣被害」

自分で育てた農作物を守ろうと、2022年に狩猟免許を取得しました。しかし、まだまだ新米猟師の山根さん。一から全てを教わっている「師匠」がいます。父親の日吉さん(76)です。
この日は、自宅の庭で罠を仕掛ける練習です。
父・日吉さんは猟師歴40年の大ベテラン。この罠も日吉さんの手作り。更には包丁や…標本のコレクション。猟犬たちが暮らす小屋まで、すべて1人で作ったものです。

山根みゆきさん
「もう尊敬ですね。何もかもが凄いので。自然に生きている男です。もう習うことがありすぎて、毎日毎日」

父・日吉さん
「そりゃ跡を継いでくれるけえ、嬉しいわな。やっちゃる言うけえ、やってみいやって」

尊敬する父と二人三脚で「農家」と「猟師」の「二刀流生活」をしています。そして父親の背中を追いかけるだけではなく、新しいチャレンジに動き出しています。

山根みゆきさん
「我が家でもちろんおいしいお肉を食べるのは当たり前だったんですけど、このおいしい肉を私だけ食べるんじゃなくて、やっぱりたくさんの人に食べてもらいたいなっていう気持ちが強くなって」

小さなころから父が狩猟した獲物を食べていた山根さん。Uターン後に改めてその美味しさに気づき、全国に「邑南町のジビエ」を届けたいと思い立ちました。若い発想を生かして販売方法はインターネット。オンラインでの販売事業をスタートさせるために、クラウドファンディングで支援を求めたところ、目標を大きく上回る160万円が集まりました。この資金をもとに、父・日吉さんや地元の人たちに協力してもらいながら自宅の横に作業小屋を建設。ここで獲物の解体から袋詰め、さらには冷凍保存まで行います。

山根みゆきさん
「ここにイノシシの足を吊って、ここでさばくんです」
Q:これも手作りですか
「これも手作りです。かなり手作りです」

冷凍庫の中にはイノシシやシカの肉がぎっしり。オンラインでの販売に向け、着々と準備を進めていて、しばらくはクラウドファンディングの協力者への返礼品として順次発送する予定です。今回、特別に自慢のシカ肉を焼肉でいただきました。

福島睦アナウンサー
「おいしい。思っていたよりずっと臭みがないし、柔らかいし、凄く旨みがある。ご飯が欲しくなりますね」

邑南町のジビエのおいしさを全国に伝えるとともに、山根さんにはもう一つ計画が…。

山根みゆきさん
「やっぱここに来てほしいなって思ったので。田舎体験が出来る宿をやりたいとずっと思ってきた」

7月から農業や狩猟体験を提供する「農泊」の事業も始める予定で、自分が身をもって感じている邑南町の自然の恵みや命の大切を多くの人に実感してもらおうとしています。

山根みゆきさん
「家の中に囲炉裏もあるので、囲炉裏を使いながら肉や魚を焼いたり、自然の音が聞こえてくるっていう環境を味わってほしい。もうめちゃめちゃ楽しみです。私が楽しみです」

地元、邑南町の豊かさを全国に発信するジビエ女子。山根さんの挑戦はまだ始まったばかりです。