南海トラフ巨大地震について太平洋側では防災訓練などが頻繁に行われていますが、日本海側の富山県内では、この地震について身近に感じたり意識している人は案外少ないかもしれません…。
しかし、南海トラフ地震が起きると富山県内でも強い揺れ、さらに津波が起きると専門家は警鐘を鳴らしています。

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南海トラフ巨大地震は駿河湾から日向灘へと伸びる「南海トラフ」に沿って発生する地震で、今後30年以内に70パーセントから80パーセントの確率で起きると予測されています。

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太平洋側の広い範囲で震度6弱から震度7の強い揺れにみまわれ、10mを超える大津波の襲来も想定されています。

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最悪の場合、死者は32万3000人にも達すると考えられています。

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専門家は富山でも最大震度5強も…

太平洋側のことだと油断している人も多いのではないでしょうか?地質学が専門で富山大学名誉教授の竹内章さんは…。

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富山大学 竹内章名誉教授:「南海トラフ地震の巨大なのがマグ二チュード8以上が起きたとすれば、能登半島地震と同じくらいの揺れを経験することになります」

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富山県内で観測史上初の最大震度5強を観測した能登半島地震。各地で液状化現象が相次ぎました。

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富山市の観測点では観測史上最大となる80センチの津波を観測。

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建物の倒壊も相次ぎ県内ではこれまでに全壊245棟を含む1万8974棟の住宅で被害が確認されています。

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政府のまとめでは、南海トラフで巨大地震が発生した場合に県内で想定される最大震度は、富山市で震度5強、そのほかの市町村は震度5弱となっています。

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南海トラフで巨大な地震が起きた場合、県内でも能登半島地震と同様の被害が発生する可能性があると竹内さんは指摘します。

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竹内章名誉教授:「南海トラフという離れた場所なんですけど、揺れが強いので、液状化とか、土砂災害とかが起きてしまう」

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大地震後に連動する後発地震で更なる被害も…

さらに南海トラフ巨大地震後の「後発地震」にも警戒が必要だと指摘します。

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富山大学 竹内名誉教授:「南海トラフで巨大な地震が起きると、それに連動して地震が起きることが考えられて、富山の安政の飛越地震っていうのは、実は、安政の南海トラフ巨大地震の後発地震なんですね」

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南海トラフ沿い地域では、これまでおおむね100年から150年の周期でマグ二チュード8クラスの巨大地震が発生しています。

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竹内さんが着目するのが、まずは1854年の安政の東海地震と南海地震。そして4年後の1858年に起きた安政の飛越地震。つまり巨大地震の後に起きる地震です。

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安政の飛越地震とは、立山から岐阜県白川村に伸びる跡津川断層を震源に発生したマグニチュード7.1と推定される地震です。

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飛越地震について記された古文書には大地から地下水や砂が噴き出し、逃げ惑う人々や家屋に押し潰されている人の姿が描かれています。

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この地震では液状化現象や家屋の倒壊に加えて土砂災害も多発したとされています。さらに…。

富山大学 竹内名誉教授:「(飛越地震は)内陸の山の中の震源だったわけですけれども、富山湾では津波が発生してるんです」「安政のときは、(富山市の)四方沖で漁船が4艘転覆とかですね。飛越地震の)時は(氷見市の)上庄川に60センチくらいの津波が来てる」「富山湾はそういう性質の湾なわけですね」

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安政の飛越地震では震源が内陸でしたが県内にも津波が押し寄せたといいます。

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富山湾は沿岸近くから一気に深くなり、海底に急な谷が連なる独特な地形をしています。

能登半島地震でも震源断層によるものとみられる津波とは別に、富山湾の斜面崩落が引き起こしたとみられる津波が地震発生の3分後に富山市で観測されました。

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竹内さんはたとえ震源が内陸や太平洋側であっても富山湾では津波に警戒が必要だといいます。

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富山大学 竹内名誉教授:「強い地震があると湾自体が揺すられるとか、海底地すべりが起きるとか」「太平洋側の地震とか、内陸の強い地震の場合、数十センチの津波が起きてきたんですけども」「2度あることは3度あるという理解で警戒をすべき」

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南海トラフ巨大地震に連動した後発地震にはさらに警戒が必要だといいます。

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これは佐渡島から朝日沖にのびる『糸魚川沖断層帯』が動いたときのシミュレーションの映像です。

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富山大学 竹内名誉教授:「特に、糸魚川沖などで連動した地震が起きれば、そこでの津波っていうのは当然、能登半島地震と同じように起きるわけで、そうなると数十センチの津波では収まらなくて、やっぱり4〜5メーターとかということは当然考えておかなければいけない」

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4メートルから5メートルと言えば今回の能登半島地震で震源に近い珠洲市や能登町に押し寄せ大きな被害を及ぼした津波と同じくらいの高さ津波です。過去の地震から学び正しく理解して正しく恐れることが必要だと竹内さんは強調します。

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富山大学 竹内名誉教授:「南海トラフの地震、太平洋側の地震であっても、強い地震であれば富山は揺れると、富山にも影響がある。津波も起きると、正しく恐れるということを南海トラフ地震についても、そういう理解でそういう認識で日頃の生活、日頃の備えというのをしておくべきだと思いますね」

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南海トラフ地震に限らず地震はいつ起きるかわかりません。ご家庭の家具などが固定されているかや自宅周囲のどこに避難場所があるかやそのルートの確認、水や食料の備蓄など日頃から地震に備えることが必要です。