五月人形

5月5日の「端午の節句」に飾る五月人形。じつは扱い方次第では、大切な五月人形の寿命を縮めてしまうかもしれません。日本人形協会によると、毎年3月から4月にかけて1年ぶりに箱を開けると「人形にヒビが入っていた」「兜の金属部分がサビた」など、五月人形の破損や汚れについての相談が増えるといいます。

きれいに保つための秘訣を、日本人形協会の広報委員長で人形メーカー「久月」社長の横山久俊さんに聞きました。

取り付け、取り外しは手袋を装着

五月人形をきれいに保つポイント

横山さんによると、「五月人形の金属部分を素手で触らないことが重要」といいます。基本的に五月人形は、手で触れても問題ないように塗装されていますが、金属の部分、特に兜の鍬形は要注意。手の油や汗が染みやさびの原因になります。飾っているときはなるべく触らず、取り付けや取り外しのときは手袋をつけましょう。片付けの前の柔らかい布でのから拭きもオススメです。

直射日光や空調、湿気が色あせや変色の原因に

晴れの日に片付け、除湿剤は収納場所の近くに置く

直射日光・空調・湿気にも注意が必要です。直射日光や空調の風は色あせや変色の原因になります。五月人形は湿気が大の苦手。カビが生えやすいので、風通しの良いところに飾りましょう。

また、片付けは晴れの日に行い、除湿剤を活用することもポイントの1つ。ただ、乾燥しすぎるとひび割れにつながるので、除湿剤は収納箱の中ではなく収納する場所の近くに置きましょう。

梅雨の前までに片付けて

日本人形協会広報委員長、人形メーカー「久月」横山久俊社長

ひな人形と違って「片付けの時期が遅れるとお嫁に行くのが遅くなる」といった言い伝えは特になく、いつまでに片付けなければいけないなどの決まりはありません。横山さんは「湿度が高くなる梅雨の前までに片付けるのが良い」と話します。

近年はA4サイズ以下の五月人形も

近年の五月人形の商品

「子どもの代わりに災いを引き受けてくれる」といわれる五月人形は、兄弟で1セットや誰かのおさがりではなく、1人1セットが原則でした。ただ横山さんによると、近年では居住環境の変化や家計への負担を考慮して、必ずしも1人1セットではなくなっているそうです。

例えば、子どもの名前を記した「名前旗」。2人目以降の男の子が生まれたときに、五月人形に名前旗のみ追加して一緒に飾る人もいます。さらにA4サイズ以下のコンパクトな五月人形や、3万円以下のお手頃な商品も販売されているんです。

横山さんは「子どもを思いながら五月人形を飾ることが大事」と話します。家庭の環境に合わせた五月人形を飾ってみてはいかがでしょう。