歴史的水準の円安が続くなか、日本各地の観光地は、海外からの訪日客に、ゴールデンウィークの人出も加わってにぎわいをみせています。オーバーツーリズムをどう防いでいくのか、対策が迫られています。

観光地の課題の一つが“荷物”。荷物を預ける場所がないという人は、1日17万人にもなるといわれています。

カラオケ店に入る観光客。滞在時間は10分ほどです。歌いたいわけではありません。
福岡からの観光客:「カラオケには行かず、荷物だけ預けに来ました。ホテルに置くのも考えたが、羽田に帰るのに変な動線になるので。お金払っても時間を有効に」

預けられた荷物は、カギ付きの部屋でしっかりと管理。コインロッカーに入らない楽器も持ち込めます。この荷物一時預かりのサービスは、ゴールデンウィークに向けて店舗数を大幅に増やし、カラオケ店のほか、カフェや観光案内所などにも設けられています。予約は事前にネットから行います。
ecbo・工藤慎一社長(33):「山手線とか“荷物問題”で、乗客が乗るべきところに荷物が乗ってしまっている。エスカレーターから滑り落ちる事故にもつながる。かなり大きな問題になっている。観光において、荷物を預けられることで、購買率も上がるし、いろんなお店に入りやすいとか、より長く観光地を楽しむことができる。本当に必要だと思います」

軽井沢駅から1.5キロ離れた道路は大渋滞となっています。
タクシー業界は、ドライバー不足も深刻です。軽井沢町は、解決策として、県内では初となるライドシェアを導入。ゴールデンウィークに合わせてサービスを始めました。

オープニングスタッフの広越さん。自営業の傍ら、副業としてハンドルを握ります。
ライドシェアのドライバー・広越智岳さん:「(Q.手ごたえは)手ごたえは未知数。やってみて、これからというところ。ライドシェアの利用が増えて、いいサービスになれば」

オーバーツーリズムが叫ばれて久しい京都。
京都市民:「混んでいるときは、どこにも行けない状態。もうちょっと緩和してもらいたい」

政府は、去年10月にオーバーツーリズムに関する緊急の対応策をまとめました。ただ、歴史的な円安を追い風に、さらなるインバウンドの増加も見込まれています。

強い期待を抱いているのが山口市です。
実は、今年、アメリカ・ニューヨークタイムズの“行くべき世界の旅行先52カ所”に選ばれました。キャッチフレーズは『過度な観光客に悩まされることが少ない西の京都』。

山口が誇る観光地の一つ・瑠璃光寺。日本屈指の五重塔や厳かな庭園は、記事の中で「非の打ち所がない」と絶賛されました。

台湾からの観光客「ネットで見たことがあります。そこで紹介されていたので来ました」
アメリカからの観光客:「京都は、外国人や観光客でいっぱいですが、ここは地元住民が多いですね」

今後、山口に観光客が押し寄せる可能性もあります。

瑠璃光寺・渡邉博志住職:「(Q.今のところ外国人向けの表記は)まだ特別、対応していないので、これから観光も含めて、海外の方、特に欧米の方がお見えになるときには、対応して表記も一工夫しなければいけない」

山口の迎賓館・菜香亭。ガイドを務める男性は、すぐには“京都のようにはならない”としながらも、一抹の不安を抱えていました。
菜香亭のガイド:「観光客が多すぎるのは、ちょっとどうかなっていうのもあるが、そんなこと言ってられる状況ではない。受け入れの態勢の充実もまったなしで、やっていかなくては。せっかく来てくださるお客さまも、よそに行ってしまうかもしれないので」