知らない間にスマートフォンを乗っ取られ、高額な買い物をされるといった被害が相次いでいます。スマホの乗っ取りに使われたのが、偽造された『マイナンバーカード』。政府が携帯事業者などに注意喚起する事態となっています。

■勝手にロレックス購入され…

大阪・八尾市の松田憲幸市議は先月30日、スマホの電波が突然つながらなくなりました。

大阪・八尾市 松田憲幸市議
「ひょっとしたら広域の電波障害、たまにダウンする時があるので、そういったものかなと」

数時間経っても直らず、携帯ショップに駆け込むと驚きの事実が…。

大阪・八尾市 松田憲幸市議
「『松田さん、機種変更をしていますよ。(先月30日)午後3時に機種変更を名古屋の柴田店でしてますよ』と」

遠く離れた名古屋での機種変更。当然、身に覚えはありません。

大阪・八尾市 松田憲幸市議
「どうやって身分確認したんですかと言うと『マイナンバーカードを提示されました』と。名前と住所と生年月日が合っている私のマイナンバーカードで、写真の方は別の方」

何者かが偽造マイナカードで松田氏になりすまし、スマホを乗っ取っていたというのです。被害はこれで終わりませんでした。

大阪・八尾市 松田憲幸市議
「ソフトバンク・ワイモバイルのまとめて支払から5万円チャージされている。その後、タクシーで使わていたり…」

翌日、さらなる被害が発覚します。

大阪・八尾市 松田憲幸市議
「店頭受け取りなので終わっていますが、225万円のロレックスが注文されていた。私がローン組んでいることになって、受け取られている」

被害総額は242万円に上ったといいます。以前はホームページに掲載していた生年月日や住所、携帯電話番号が悪用されたとみられます。

■カギは『SIMカード』

どういう手口なのでしょうか。カギとなるのは、契約者の情報や電話番号が記録されたSIMカード。犯人は「スマホをなくした」と携帯ショップに来た可能性が高いといいます。

ITジャーナリスト 三上洋氏
「SIMカード紛失した場合には、携帯電話会社の窓口などにいって再発行できる。この再発行する場合に必ず携帯電話会社側では本人確認をする。ところが今回は、犯罪グループ側が本人確認に使うマイナンバーカードをなりすましで偽造したと思われます」

犯人は偽造したマイナカードを見せて、被害者の電話番号とひもづいたスマホを入手。これによって被害者はスマホが使えなくなってしまいます。そして、犯人はスマホを乗っ取ればキャッシュレス決済も乗っ取ることが可能になります。

キャッシュレス決済では電話番号とパスワードでログインできるものがあります。犯人はパスワードが分からなくても、電話番号を使ったショートメッセージでリセットすることができるといいます。

ITジャーナリスト 三上洋氏
「さらにキャッシュレス決済にログインできると、登録してあるメールアドレスが分かる。メールアドレスをもとにして、別のショッピングサイトへ行く。ショッピングサイトにメールアドレス、またパスワードは分からないが、ショートメールのリセットで再設定ができてしまう」

■『ICチップ』使わず…政府が注意喚起

本人確認に使うマイナカードにはICチップも付いていますが、同様の被害(被害額10万円)に遭った都議は、携帯ショップからこう説明されたといいます。

東京都 風間ゆたか都議
「(ショップは)マイナカードを目視で確認するのみ。ICチップで本人確認できるが、ショップには(読み取り機を)置いていないということでした」

カード偽造の内情を知る人物はこう話します。

カード偽造の内情を知る人物
「(Q.マイナンバーカードの偽造は簡単)簡単。免許証の偽造と一緒。ただ、後ろのICチップだけが今のところまだできていない。(Q.ICチップを読む店では使えない)使えない。ただ、その店が(読み取りの)機械を設置している店なのか店じゃないのかは分かるので。(ショップの)リストが回っているから」

マイナカードの偽造にどう対応すればいいのか。河野大臣は見抜き方があるとしています。

河野太郎デジタル大臣
「マイナンバーカード真正のカードは、右上のマイナちゃんがパールインキで印刷されているので、偽物は色が変わりませんから、すぐ分かります」

確かに右上の部分は角度を変えると、少しですが色が変わります。そのうえで…。

河野太郎デジタル大臣
「ICチップを読み取っていただくのが一番確実な偽造対策で厳格な本人確認」