4)実効性のある改革の必要性

では実効性のある制度資金制度改革のためには何が必要となるのか?杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)は次のように述べた。

国民は「政治は何のためにあるのかという議論が抜け落ちている」部分に違和感を覚えている。政治の目標は、本来、日本を平和にし国を繁栄させることだ。政治を行うのに金がかかるなら、そう宣言し透明化と一本化することが必要だ。法律の条文に違反したから500万円の線引きをして処分をするのでは、処分に対して不満を持つ人もいるし、なぜ岸田首相が処分されないのかという話にもなる。細部に収斂してしまうと、本来の政治の目的やあるべき姿から離れてしまう。政治家が法律や規則を全て守って絶対に違反しないことだけを重視していると、選挙区住民の声を聞き、大きな構想で物事を進める、政治の大切な動きが抜け落ちて、小さな政治に向かい、皆で監視する政治になってしまうのでは、という恐れも感じる。

久江氏は次のように述べた。

現状は、車の制限速度で80キロ制限を守れなかったから60キロにしよう、次は40キロだというような話で、ルールを守らない政治家の倫理感や責任感が問われている。そこを問うことこそが選挙だ。

中北氏は

厳罰化して抑止効果さえ働かせられれば、それなりにもっと機能する形になっていくのではないか。ただ、そこだけを小さく低くやっていくと政治が死んでしまうのではないかということを個人的には危惧している。本当に有効な政治改革、政治資金制度改革を、与野党、知恵を絞って、ぜひ進めていただきたい。

久江雅彦(共同通信社編集委員兼論説委員、杏林大学客員教授。永田町の情報源を駆使した取材、分析に定評)

中北浩爾(中央大学法学部教授 専門は政治学、自民党の歴史と政策等に精通。『自民党-「一強」の実像』など著書多数)

杉田弘毅(共同通信特別編集委員 ワシントン支局長、明治大学特任教授。NY特派員など米国で通算12年の取材活動。2021年度「日本記者クラブ賞」)

「BS朝日 日曜スクープ 2024年4月14日放送分より」