ニッポンの「リアルなご飯」にスポットをあて、「あなたのご飯見せて下さい」を合言葉にリポーターが全国を旅する「昼めし旅」(毎週月〜金曜 昼12時00分)。その土地ならではのお昼ご飯や人気店、魅力的なご飯を紹介します。

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3月21(木)は、名曲『津軽海峡・冬景色』でおなじみの青森県・奥津軽で昼めし旅。荒々しくも美しい津軽海峡の海の幸といえば、メバル。津軽海峡は潮の流れが速く、そこで育ったメバルは身が引きしまり、味は淡白。高級魚として有名です。そんな奥津軽でご飯調査するのは、寒くてもテンションアゲアゲのDJ KOOさんです。

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高級魚・マツカワガレイの一夜干しや塩辛も堪能!


東京から約3時間30分。本州最北端にある新幹線の駅が「奥津軽いまべつ」駅です。駅から車で約40分、龍飛崎のある外ケ浜町へ向かいました。この日行われていたのは、県内各地から人が集まるイベント「たっぴ鮮魚市」。地元の食材を多くの人に知ってもらいたいと始まったイベントで、ホタテの串焼きなどが無料で振る舞われます。アンコウをさばく吊し切りの実演など、催し物が盛りだくさん。さらに高級魚「マツカワガレイ」を使った2色丼も!

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「マツカワガレイ」は、青函トンネル付近から滲み出る海洋深層水を汲み上げて養殖しており、青森市内の高級料亭でしか食べられない食材です。そんな高級魚を養殖している水産加工食品販売店の従業員・佐々木雄二さんに、さっそく例のお願いを…。

「あなたのご飯、見せてくださ〜い!

交渉成立!

いつも従業員の皆さんと昼ご飯を食べるとのことで、イベント会場から車で5分ほどの事務所にお邪魔しました。お昼ご飯を見せていただくのは、水産加工会社「LaLaKi」の皆さん。小中学校の同窓生や親族の方と経営しています。外ケ浜町を盛り上げたいと一致団結して、昨年、会社を設立。津軽海峡でとれた魚などを加工し、全国に展開しています。

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社長の伊藤明菜さんが作るのは、「俵にぎり」。地元では漁師が沖に出るとき、長い俵型のおにぎりを持っていくのが定番だそう。
まず、アルミホイルの上に焼き海苔を乗せて塩を振ります。その上にご飯を広げてお好みの具を真ん中に乗せます。ちなみに今回使った具材は、自社の商品でもあるサーモンの塩辛とマツカワガレイの塩辛。そのまま俵型に巻いたら出来上がりです。 「おにぎりが握れない人でも簡単に握れますよ」と伊藤さん。

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続いて副社長の木下綾佳さんが、津軽の定番「たまご味噌」を作ります。鍋にお湯を沸かし、煮干しと昆布の顆粒だしを投入。この日は特別に青森でとれたホタテも加えます。ホタテの出汁から旨味が出て、よりおいしくなるそうです。味噌を溶き入れたら、ここからがたまご味噌のポイント。溶き卵を一気に流し入れ、菜箸3本を使って勢いよく混ぜます。卵がふわふわになったらご飯にかけていただきます!

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こちらが、水産加工会社LaLaKiのお昼ご飯。

ご相伴にあずかったDJ KOOさんの感想は? 「最高! ざっくり作ってるのに、素材のうまみを引き出してる。これだったら料理をしない僕でもチャレンジできそう」。さらに「龍飛マツカワガレイの一夜干し」まで振る舞っていただき、ごちそうさまでした。
これからも力を合わせて地元の良さを広めていってくださいね。お忙しいところありがとうございました!

地元ならでは!サメの“すくめ”とは?


引き続き、外ケ浜町でご飯調査。住宅街の中に温泉「みんまやよしつねの湯」を発見したDJ KOOさん。なぜ「よしつね」という名前なのかというと…実は、外ヶ浜町は源義経が津軽海峡をわたり、北海道へ逃れたという伝説が残る町。「義経寺」など源義経にまつわる場所も多く、それにちなんで名付けられたそうです。

さっそく、従業員の方に交渉を試みるも残念ながらNG。そのかわりにと、隣に住む方が料理人ということで紹介してもらえることに! お仕事中にありがとうございました。

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ご飯を見せてくれるのは6年ほど前まで中華料理店を営んでいたという笠原久子さん。地元産の海藻を使った塩ラーメンが人気で、地元のみなさんに愛されたお店だったそうです。すでに晩ご飯の準備中だったという笠原さん。グリルの中にはなんとサメ肉が!

青森県では、サメはスーパーで買えるほどポピュラーな食材。津軽地方では、縄文時代からサメが食べられていたことも遺跡調査からわかっています。一般的には匂いが強いイメージですが、県内でとれるサメは、鮮度が高いうえに素早く処理しているため、臭みがないそうです。

さらに冷蔵庫から取り出したのは、サメの“すくめ(酢味噌和え)”。津軽地方では、「酢で包む」ことを「すくめ」と呼ぶのだそうです。酢味噌で和えることで、サメの淡白な味わいが楽しめます。

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続いて、笠原さんの得意料理を拝見。一般的にきんぴらといえば、千切りにした野菜を砂糖醤油で甘辛く炒めたものを思い浮かべますが、笠原家では大根を醤油で煮たものをきんぴらと呼んでいるそうです。そこへ津軽海峡でとれた岩海苔を加えると、大根のシャキシャキ感と岩海苔のトロトロ感がたまらない1品に! 岩海苔から磯の味が香るので、味付けは薄めがおすすめです。

さらに、春先にとれる薄く柔らかい一年昆布、「若生」を取り出した笠原さん。若生で炊きたての白米を巻いた「若生おにぎり」を作ります。自然の塩味で、磯の香りが口いっぱいに広がるそうです。

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こちらが笠原さん家のご飯。

今が旬の布海苔の味噌汁と、サメの味噌焼きも並びました。津軽海峡で水揚げされる布海苔は粘りが強くコリッとした食感が特徴です。2年前に急死した夫の支えがあったからこそお店ができたという笠原さん。20年連れ添った夫がそばにいないことは寂しいけれど、それ以外は幸せだと話します。笠原さん、これからもおいしいご飯をたくさん食べてお元気で! ありがとうございました。