「まんが日本昔ばなし」のアニメーション監督を務めた男性が、2年の歳月をかけた新作アニメを発表しました。
「花咲か爺さん」に独自の解釈を入れた作品です。

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富士河口湖町にある西湖いやしの里根場で1人黙々と作業しているのはアニメーション監督の前田こうせいさん(74)です。

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前田さんは1979年から16年間、「まんが日本昔ばなし」で作画と演出を担当し、約90本の作品を制作しました。

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現在は、西湖を拠点に絵の販売やアニメの作画をしています。

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この日、前田さんが描いていたのは新作の自主制作アニメです。

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アニメーション監督 前田こうせいさん:
「今回はね、ちょっと冒険なんだよね。こんなやっていいのかという世界でやっちゃおうと思って。」

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制作しているのは昔話の花咲か爺さんを題材に独自の解釈を入れたアニメ「ぽち桜」です。

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前田さん:
「こうやっておくとね、ミスが分かるんですよ。塗り残しとかね描き忘れというのが必ずある。」

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「ぽち桜」は前田さんが1枚1枚手作業で作画していて描いた枚数は約2年間で4000枚にのぼります。

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作曲の担当者:
「だんだん良くなってくるんで。細かいピッチなんかは調整できるんでエモーションのところを聞いていてください。」

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完成が大詰めを迎えた4月、東京の音楽スタジオでアニメに使う音楽の収録が行われていました。

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聞こえてくるのは「ジャズ」です。

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前田こうせいさん:
「昔話らしくない世界でかつ今までと違うものを作りたかったんですね。日本的な音楽でやるという手もあるけどそうじゃなくて。一緒にシンクロできるような。これ出来そうだなって話をしているうちにそう思っていった。」

この日は最大の見せ場となる桜が咲くシーンに流れる歌の収録でした。

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プロジャズシンガー 井上真紀さん:
「前田先生が描かれている空気感、桜の世界の空気感っていうのを感じながら歌いました。」

納得いくまで何度もやり直し、4分間の曲の収録におよそ3時間かけました。

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前田さん:
「どうもお疲れさまでした。完成した作品は料金500円の『ワンコイン上映会』で公開することにしていました。皆さんに知っておいてもらいたいんですよ。順次そういう形で。最初見た人たちがこういうものあるよと広がっていくじゃないですか。500円で見られて。じゃあもう1回来ようかと。」

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3日、県立図書館で行われた上映会にはおよそ60人が訪れました。

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前田こうせいさん:
「昔々で始まるのが本来の昔話ですけど、まずそれはやめちゃって、世界中に強欲じじいは生きているというようなやり方でスタートするような世界ですね。早速ですがご覧いただきます。」

そして、銀幕が光り始めます。

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「ぽち桜」は強欲じいさんの人物像や愛犬ぽちとの結びつきに独自の解釈が加えられています。

観客は前田さんの作品に引き込まれていきます。

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上映が終わると会場からは大きな拍手が起こりました。

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観客は:
「表情が見るだけで感情が伝わってくるような素晴らし作品だったと思います。」
「ジャズをBGMにした斬新な試みに大変来てよかったと思っています。」

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前田こうせいさん:
「すごくうれしいです。皆さんの反応がダイレクトに聞けて。手で作るという世界は変わらないと思うんですね。継続してあそこに行けば見られるっていう場所をどうしても作りたいんですよね。そういう風にして長い目で続けていきたい。」

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前田さんの作品はいつまでも多くの人の心に残り続けます。