三菱ふそうの小型トラック「キャンター」をベースとしたキャンピングカーが欧州のオークションに出品されています。どのようなクルマとなっているのでしょうか。
三菱ふそう「キャンター」“野戦仕様”と言える装備とデザイン
「キャンター」は、三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう)が製造・販売をしている小型トラックです。
積載容量は1.5トン〜4トン積みで、コンビニの配送車、建設現場などで砂利を運ぶダンプ、清掃車など幅広い現場に対応できる汎用性の高さが特徴。日本の産業を輸送面で支える存在です。
初代キャンターは1963年に登場しました。
以降1968年、1973年、1978年、1985年、1993年、2002年、2010年にフルモデルチェンジが行われ8代に渡り歴史を紡いでいます。
現行型は8代目のデザインを刷新し、ブレーキアシストといった安全機能を強化したマイナーチェンジ版。ヘッドライトが「吊り目」のデザインを採用し、近未来を彷彿とさせるフロントフェイスに一新されています。
ちなみに生誕60周年となった2023年には、8代目をベースにしたEVトラック「eキャンター」がフルモデルチェンジされました。eキャンターとしては2代目で、初代eキャンターは2017年に登場しています。
今回、オークションサイトに登場したキャンターのキャンピングカーは、チェコのオーナーが出品した車両です。
2022年型の比較的新しいキャンターがベースで、走行距離は2万kmです。
エンジンは、2.5リッター直列4気筒のディーゼルターボで、最高出力175psを発生。ギアは5速のマニュアル(MT)で、駆動方式は4WD。タイヤサイズは205/75R17.5です。
ボディサイズは全長7220×幅2200×全高3280mm、車両重量は6500kgで、定員5人という設定。海外向けの車両なので、左ハンドル仕様となっています。
キャンピングカーのベースにキャンターを使用することは日本国内でも見られます。しかし今回紹介するものは国内のものに比べてタフネス性を強化したかのようなパッケージになっているのが大きな特徴です。
タフネス性を感じさせる最大の要因は、車体の装備です。
4WD・5速MTに加えてウインチを装備し、さらにサスペンションを変えて車高が上げられているのが確認できます。
通常は荷台にあたる部分に、キャンピングカーとして居住スペースの架装が施されています。
前部のキャビンとは非貫通の独立タイプで、プレハブのようにスクエアな形状を採用。
外面にはルーフレール・リアキャリア・クレーン・ソーラーパネル・水タンクが備えられており、キャンピングカーというよりも何かの作戦に従事するかのようなシンプルな見た目となっています。
一転、室内は快適な作りとなっています。3人ほどが座れそうなテーブル付きの座席、キッチン、冷蔵庫、シャワー・トイレが備わり、エアコンも完備されています。ラゲッジスペースも大きな容量があるようで、数日間の泊まり込みにも対応できそうな仕様です。
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日本ではメジャーで手軽に行えるアウトドアとなったキャンプですが、海外のキャンプ、それもキャンピングカーで移動しながらの旅となると、狩猟的なアクティビティも含まれるのかもしれません。
キャンピングカーとしてはオーバースペックに思える今回の車両ですが、数日間の狩猟に使用すると考えれば合点が行きます。
これだけのスペシャルなキャンピングカーの値段は17万9900ユーロ(約3000万円)との提示です。装備を考えると、暴利を貪るようなプライスではないのかもしれません。