日産のSUV「パトロール」のキャンピング仕様車がオークションに登場しました。どのようなクルマなのでしょうか。

日本国内では「サファリ」として売られていたモデル

 日産「パトロール」は大型のSUVですが、現代的な流行に乗ったシティライクなモデルではなく、悪路の走破性を重要視して開発された本格的なクロスカントリーモデルです。

 現在、日本国内での販売はない海外専売モデルで、1951年に初代がデビューしました。

 以降、1960年に2代目、1980年に3代目、1987年に4代目、1997年に5代目と進化をしていきますが、3代目から5代目は日本国内で「サファリ」として販売されていました。

 6代目からはサファリとしての国内販売はなくなり、パトロールとして海外専売車となりました。

 最新型は2019年に発表。全長5315×全幅1995×全高1940mm、最低地上高273mmの大型クロスオーバーモデルで、全体的に角ばったボディデザインを持ち、現在の日産車のアイコン「Vモーショングリル」をフロントに大きくレイアウトするなど豪華さも高めています。

 エンジンは4リッターのV6ガソリンと、5.6リッターのV8エンジンの2種類を用意しています。

 最新型パトロールが世界初公開された場所はアラブ首長国連邦のアブダビ。アラブの富裕層に向けた高級SUVともいえます。

海外専用車の日産・現行型「パトロール」(写真は中東仕様)

 今回オークションに出品されたキャンピング仕様パトロールは、1994年モデルのパトロールがベースとなっています。日本でも当時サファリとして販売されていた馴染み深いモデルです。

1994年モデルの「パトロール」がベース

 車体は後部ドアも含めた5ドア仕様で、ボディの形状を変えるといった大掛かりな改造はされていないようです。

欧州のオークションに登場した1994年製日産「パトロール」ベースのキャンピングカー。ルーフテントも装備

 海外仕様車らしいシュノーケルが運転席型のAピラーに伸びています。

 車体前側にウインチを搭載し、屋根上には大型のルーフラックも備えています。頑丈なもので、これをベースとしてテントの展開が可能(ハシゴで昇降)。巻き取り式のタープの備え付けもあります。

 ちなみにトレーラー用のヒッチも装備されており、後ろに牽引式のキャンピグカーを引くことも可能です。

 ホイールサイズは公開されていませんが、オフロードに対応したプロックパターンのタイヤが装備されています。

 車内には宿泊を可能にする装備が追加されています。充電式のバッテリーと冷蔵庫が備えられています。ちなみに冷蔵庫のバッテリーは専用のものが装備されているようです。また、ソーラーパネルによる充電も可能とのこと。

 バックドアを開けると、すぐ前に収納棚があります。3段の引き出しがあり、様々なサバイバル道具を収納できそうです。

 エンジンは2.8リッターのディーゼル(137馬力)で、トランスミッションはマニュアル。駆動方式はもちろん4WDです。

 走行距離は28万7000kmと走りこまれていますが、28万kmの時点でオーバーホール。ラジエータも特注で新品にしたとのこと。しかもパトロールを熟知した職人が作業を担当したようです。

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 今回の車両は3万2500ユーロ(約545万5000円)で出品されています。現在のSUVとしては妥当な価格に見えますが、年式を考えると高値といえるでしょう。

 このパトロールは、その名の通り広大な密林も巡回できそうなキャンパー仕様。どこまでも奥に進めそうです。