有明でフォーミュラEができるなら「オラが町」でも! 公道レース向きの「都市」を妄想してみた

この記事をまとめると

■フォーミュラE世界選手の開催で常設サーキットとは違う公道レースならではのメリットを感じた

■公道レースの開催には安全対策や自治体・警察そのほかの関係機関への認可などが必要でハードルがは高い

■公道レースを開催するとしたら有力候補となりそうな魅力的な都市をピックアップ

大成功に終わったフォーミュラE東京大会の公道レース

 お台場の公道を使ったフォーミュラE世界選手権は、観戦者からおおむね好評を得たようです。曰く、駅から近くて便利、行き帰りの渋滞がないなど、なるほど常設サーキットとは違ったメリットがあるものだと感心させられました。

 そんな魅力的な公道レースなら、「お台場だけでなくあちこちでやればいいのに」と多くの方がそう考えるはず。ですが、ひと口に公道レースといっても、安全対策や自治体・警察そのほかの関係機関への認可など、ハードルの高さは我々の想像をはるかに超えるもの。フォーミュラEを開催されたステークホルダーには頭が下がるというものです。

 ともあれ、そんな公道レースを妄想してみるのも悪くありませんので、いくつか有力候補をピックアップしてみましょう。

東京都・ルート246

 ゲーム好きが公道レースと聞けば、真っ先に思い浮かべるのがこちらでしょう。片側3車線ある青山通り(246号線)の全開バトルや、絵画館を半周する高速コーナー、はたまた紀尾井坂の下りコーナーだってスリリングなシーンが展開されること間違いなし。

 じつはグランツーリスモで架空のコースとして登場するはるか以前に、あるモータージャーナリストが「青山グランプリ」というアイディアを自動車雑誌に寄稿していました。その際も、ホンダの本社がある青山一丁目の交差点は「特等席」になるなど、公道レースならではの魅力にも触れられ、筆者も大いに夢をふくらませたものです。

 野暮なことをいえば、赤坂御所の周辺をレーシングカーがアクセル全開で走りまわるわけですから、実現に向けては宮内庁の意向がキーポイントかと。グランツーリスモでクラッシュしてみると「もしかして、飛んでったタイヤが御所に入ってるかも⁉」と心配した方も少なくないでしょう(笑)。

神奈川県・みなとみらい

 1980年代に横浜の商工会議所が中心となって、市街地グランプリの誘致をしていたことは有名ですよね。実際には鈴鹿(ホンダが宗一郎さんの目が黒いうちに、と頑張ったわけです)にもっていかれてしまったのですが、いまとなってはみなとみらいだってお台場と等しく公道レース向けロケーション。商業施設や高層ホテルもたんまりあるし、半分くらい海に面しているから、カジノ法で特区にでも指定されたりしたら「日本のモナコ」にだってなれるはず。

 パレードランはそこそこ開催されているので、さほどハードルは高くはないようですが、関係者によると「関係機関から要請される警備員の数が膨大で、その予算だけでサーキットのレンタル料を大幅に上まわる」と夢も希望もないコメント(笑)。ならば、警備員をレース好きなボランティアにしちゃえば問題解決かと思いきや「警備そっちのけでレースを観ちゃうでしょ」と苦笑い。やっぱり、日本にモナコはできないのですかね。

フォーミュラEの誘致で街も活性化!

北海道・小樽

 運河の街とかいわれて風情ある小樽ですから、公道レースとは無縁と思いきや2000年代初頭にF1を誘致する計画がもちあがったことがあるのです。紆余曲折の果てに、F1からアメリカのフォーミュラシリーズ、いまはなき「チャンプカー」レース開催計画に変わり、結局のところ資金難から頓挫。小泉政権による地域再生計画の第一号に選ばれたりして、本命視していた方も少なくないのではないでしょうか。

 お台場やみなとみらいと同じく海に面しながら、古い町並みや運河まである小樽は例えてみれば往年のサーファーズパラダイスやロングビーチといった雰囲気かもしれません。

 また、北海道というエリアは、本州の方にとってはちょっとした旅にもなるわけですから、レースファン以外の集客もしやすいのかと。

 ただし、「ドライバーが試走中にシカと衝突」という当時のニュースを聞くと、ちょっぴりハードルが上がりそう。少なくともお台場やみなとみらいにシカは出てきませんからね(笑)。

島根県江津市

 こちらは2020年にカートを使った公道レース「A1市街地グランプリ」が実際に開催されました。その際、さまざまな制約があったことは確かで、道路封鎖がたったの6時間だったとか、速度制限が60km/hとか、いろいろと大変だったようです。

 が、役所は前例・実績に極めて弱い(笑)。一度でも「公道レース」を名乗ったのですから、次回はより長時間&ハイスピードを交渉するのも悪くないのでは。

 島根県江津市は「東京から一番遠いまち」の異名で知られ、いわゆる消滅可能性都市に該当する都市だそうですから、レースによる活性化には自治体も嫌とはいいづらいはず。

 ちなみに、A1市街地グランプリでは開催候補地を募集しており、江津市は第2回の候補地としても名乗りを上げているそうです。フォーミュラEのグローバルなスケールもいいですが、江津のようなローカルで、ヒューマンタッチな公道レースというのもまた一興。レースファンならずとも、一度は観戦してみたくなるのではないでしょうか。