山形市や仙台市で無人のレンタルスタジオなどを運営するグラシーズ(山形市、高橋諭社長)は、インバウンド(訪日客)の増加を踏まえ、民泊事業に乗り出した。「AKARIYA(アカリヤ)」の名称で、山形生まれの民泊ブランドとして発信する。第1弾はニーズの高い東京都墨田区に開設した。貸し出す部屋には本県の写真などを飾り「次は山形へ」とのメッセージを込めている。県内を含め事業エリアを拡大する考え。

 高橋社長(45)は個人事業として2021年にレンタルスペース運営を始め、現在は山形、仙台、盛岡の各市で計8カ所を運営している。昨年9月に株式会社化し、需要の高さを受けて民泊に事業を広げることにした。本県や首都圏などで物件を探し、同区のマンションの一室を賃借し活用することにした。住宅宿泊事業法に基づき同区に住宅宿泊事業届出書を提出した。

 部屋は東京スカイツリーに近く、バストイレ別のワンルームタイプ。4人まで宿泊可能で、料金は1人1泊1万〜1万2千円ほど。大手民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」に登録した。今年5月下旬に受け付けを始め、「すぐに予約が入り始め正直驚いている。6月分も埋まるのが早かった」と高橋社長。申し込みは中国や東南アジア、フランスからで、相手とはサイトのチャット機能を使って予約の確認、鍵の受け渡し方法などをやりとりする。チャットには翻訳機能があるため、言葉の面で支障はないという。

 室内には蔵王の樹氷や銀山温泉、山居倉庫など本県の名所の写真を使ったパネルを掲示。地図パネルもあり、東京と本県の位置関係も分かりやすく示した。東京は民泊事業者が多く、本県の魅力も紹介することで差別化を図る狙いもあるという。高橋社長は「山形県内などでも事業を広げていきたい」と力を込めた。