西川町は1日から、大井沢郵便局(志田浩一局長)に町大井沢支所の全ての窓口業務を移管した。町は志田局長を副支所長として委嘱。日本郵便東北支社(仙台市)によると、自治体が郵便局長に公式な役職を委嘱し、行政事務全般を委託するのは、全国で初めて。大井沢地区は役場本庁舎から車で30分ほどの中山間地で、コンビニや銀行はなく、住民の利便性向上に郵便局の機能を活用する。

 同郵便局では昨年1月から支所で受け付けていた住民票の写しなど、各種証明書の交付手続きを請け負ってきた。今月から新たに、水道栓使用届と、支所の会議室の貸し出しの受付業務も担うことになり、これで支所の窓口業務全てが移されたことになる。

 一部窓口業務を同郵便局に移してから、町は支所に職員を常駐させていない。同郵便局は局長含め職員が常に勤務しており、全窓口業務を担うようになり、町の出先に担当者が常駐することになる。

 大井沢地区の住民は6月1日現在156人。このうち65歳以上が59.6%と高齢化率は高い。コンビニや銀行は近くにはなく、貴重な金融機関だ。人口減少や郵便全体の取扱量も減る中、新たな役割を担うことで、郵便局に立ち寄る人が増えることが期待されている。

 この日は同郵便局で開始式が行われ、菅野大志町長が志田局長に委嘱状を手渡した。菅野町長は「中山間地の郵便局を残すためにも、このような行政との連携が必要だ」とあいさつ。志田局長は「町民の利便性向上と地域活性化につなげたい」と話した。支所には会議室などもあり、今後も建物は活用する。町は今後、町内の郵便局員を集落支援員に委嘱する予定。来局する住民との対話の中で、日々の困り事などを聞き、郵便局を住民と町をつなぐ場にすることも検討している。