スーパー「イトーヨーカドー帯広店」(北海道帯広市)が6月30日、半世紀近い歴史に幕を閉じた。

 最終日の店内は、閉店を惜しむ地元の買い物客らでにぎわった。同店は1975年に道内1号店として開店し、98年に現在の場所に移転。帯広市民らの生活を長く支えてきた。ただ、イトーヨーカドーを展開する「セブン&アイ・ホールディングス」(東京)は2023年3月、地方や採算の悪い店舗は撤退し、首都圏に集中させる方針を発表。今回の帯広店の閉店のほか、札幌市などにある道内5店舗全ての閉店が決まっている。

 閉店セレモニーでは、笠井哲郎店長が「残念ながらイトーヨーカ堂は業績が悪化し、会社の方針で閉店となった。長い間本当にありがとうございました」とあいさつすると、買い物客らから大きな拍手が送られた。

 閉店後は、食品スーパーのダイイチ(帯広市)が今年9月に店舗1階の約4000平方メートルの食品売り場に後継テナントとして出店する予定。

 買い物に来た同市の会社員(54)は「珍しい商品も置いてあり品ぞろえも豊富だったので、移転前からよく利用してきた。大型店が相次いで閉店しており帯広経済の先行きが不安だ」とこぼした。また同市出身で清水町の介護職員(20)は「学生の時にはフードコートなどをよく利用したりしていた。当たり前のようにあったイトーヨーカドーがなくなるのはさみしい」と話した。