秋田県八峰町にあるJR五能線の踏切で発生した死亡事故を受け、能代署は21日、JR東日本や町と合同で踏切の緊急点検を実施した。事故現場の踏切は、警報機があるが遮断機のない「第3種踏切」に区分され、この日は別の第3種踏切を点検し、窓を閉め切った車内では警報音が聞こえないことが確認された。

 点検したのは、同町峰浜高野々にある同線の高野々踏切。道幅が約1・8メートルと軽乗用車1台がようやく通れるほどで、二輪、小型特殊自動車、軽自動車以外の自動車の通行を規制する標識が近くに設置されている。

 点検では、踏切手前に止めた軽トラックから、警報音がどのように聞こえるかを調査。夏場を想定し、窓を閉めてエアコンとカーステレオをつけた状態で確認したところ、調査した町職員は「全く聞こえない」と話した。

 JR東日本秋田支社(秋田市)、由利高原鉄道(由利本荘市)、秋田内陸縦貫鉄道(北秋田市)によると、県内には計552か所に踏切があり、このうち第3種踏切は17か所に上る。遮断機も警報機もない「第4種踏切」は48か所という。

 県内では2019年6月、仙北市の秋田内陸縦貫鉄道の第4種踏切で、列車に衝突した田植え機の男性が死亡した。今年4月には、群馬県高崎市の第4種踏切で、小学4年の女子児童が電車にはねられ亡くなっている。

 JR東日本秋田支社によると、第3種、第4種踏切について、「道路管理者に踏切の廃止要請をしている。生活道路でもあるので難しい側面もあるが、道路管理者などと協議を進めていきたい」としている。