モスクワ郊外のコンサートホールで発生したテロに関し、ロシア連邦捜査委員会は28日、タス通信に対し「テロリストがウクライナの民族主義者とつながっている証拠を得た」と主張した。テロの兆候に関する情報を把握していたとされる米国は改めてウクライナの関与を否定している。

 連邦捜査委は、詳細は明らかにせず、ウクライナ側から実行犯に「多額の資金や暗号資産が送られ、犯罪の準備に使われた」としている。押収した機器などを分析し「計画性や周到な準備、犯罪の首謀者からの財政的な支援が完全に裏付けられた」と強調した。ウクライナの民族主義者が具体的に何を指すかは明らかにしなかった。

 ウクライナが関与したとの見方に関し、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は28日、記者団に「非常識なプロパガンダだ」との認識を示し、イスラム過激派組織「イスラム国」が「単独で起こした」と改めて指摘した。

 一方、「イスラム国」の報道担当者は28日に公表した録音メッセージで、テロの実行犯を称賛し、戦闘員らに対し、米国や欧州、イスラエルを標的にしたテロを実施するよう促した。