パワハラとは、職場内での立場を利用して嫌がらせなどを行う行為です。しかし、高知県・津野町にある消防署では真逆の「部下から上司へのパワハラ」が認められたといいます。この消防署で何があったのでしょうか?

パワハラを行ったのは50代の消防指令補A氏

 今回パワハラ行為を行ったとして処分を受けたのは、高知県津野町にある高幡(こうばん)消防組合津野山分署に勤める50代の消防指令補A氏です。A氏は、上司である50代の消防司令補B氏に対して人権と尊厳を傷つけたパワハラ行為を行ったとして、停職1年間の懲戒処分を受けました。

遠まわしながら支払いを強要

 実際に何があったかというと、部下のA氏と上司のB氏が同席した飲み会が開かれた際、A氏は上司のB氏に対し「わかっちゅうろうにゃあ〜(わかってるだろうな〜)」などと遠回しな表現を使い、飲食代金の支払いを強要したといいます。B氏は仕方なく支払ったということです。

上司不在の飲み会のツケを支払わせる

 また、上司のB氏がいない飲み会でも、A氏はその飲食代をツケにした上で、上司のB氏に「払うちょけ(払っとけ)」とそのツケの支払いを代わりにするよう要求し、これもB氏は支払ったということです。

架空のキャンセル料を要求 支払わせる

 さらに被害はこれだけでは終わりません。別の日に、消防署メンバーで行われたボウリング大会があり、元々は出席予定だった上司のB氏は業務の都合で急きょ欠席しました。すると後日、A氏がB氏に対して「ボウリング大会のキャンセル料1万円払え」と要求。またもや上司のB氏は支払ったということです。しかし、実際にはキャンセル料は発生していませんでした。

ネット上は疑問の声も

 今回の問題に対してネット上では、

「なぜ上司が部下の要求に応じていたのか不思議でしょうがない」

という声や、

「部下はいくら言ってもパワハラにはならないと思っていた」

などの声が上がっていました。

A氏はボス的存在

 しかし、部下A氏の実態は、現場を取り仕切り、職場ではリーダー的存在で、ある意味ボス的な役回りだったともいわれています。上司のB氏の心境として「部下のA氏の機嫌を損ねると、仕事がやりにくくなると恐怖を感じていた」というものがあったといいます。

 上司のB氏は合計8回、合わせて約24万円を支払ったといい、精神的苦痛で数回通院する事態になったということです。(現在は回復)

別のトラブルからパワハラが発覚

 この問題の発覚の経緯は2023年末、津野山分署内で業務方針巡る別のトラブルが発生し、消防本部が対処した際に「ほかにトラブルはないか?」と確認したところ、A氏によるパワハラ行為が発覚したということです。また、ほかにもA氏は複数の職員に飲み会や私用の際の“運転手役”を強要していたということです。

高幡消防組合消防本部 「実質的に権力は部下側にあった」

 今回の事態を、高幡消防組合消防本部は、「実質的に権力は部下側にあった」としてパワハラと認定。ハラスメントが起きてしまった理由について「人事異動がなく、権力が集中したことが一つの原因」としています。

(「情報ライブミヤネ屋」2024年4月26日放送)