保育士のなり手不足や当事者の切実な声を伝えた「福井県内の保育士不足深刻」の記事を4月6日付の福井新聞に掲載したところ、本紙の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に反響が寄せられている。賃金が上がらない半面、勤務時間や仕事量が増えている実情を訴える声が相次ぎ、「保育士を助けて」とのSOSが寄せられた。

 ふく特のLINEに、保育士20年目という投稿者は「子どもと関わることが好きで憧れて就いた職業だが、待遇の不満から離職を常に考えている」と打ち明けた。「人員不足の中で疲弊し、保育士自身が納得できる保育を満足にできているとは言い難い。政府や行政には、保育士の処遇改善を含めて子育て支援政策を考えてほしい」と続けた。

 「30代で手取り16万円程度、長く勤めても18万〜19万円。仕事量も半端じゃない」と切り出した40代の保育士は、「不適切保育ばかりがニュースになり、社会的地位は下がる一方。私たちの仕事が価値のあるものと評価され、給料の改善と配置基準のさらなる見直しにつながれば」と訴えた。

 転職して認定こども園で働いているという保育士は「(前職よりも)仕事量が多いのに、なぜ給料が低いのか不思議で仕方がない。保育士の仕事を助けてください、そしてみんなに理解してほしい」とつづった。他にも「保育に必要な物を(園に)買ってもらえず自腹で購入することもある」とのメッセージもあった。

 掲載された記事に対して「ますます保育士になりたくない気持ちが高まり、保育士不足につながる。どうして保育士不足になっているのか背景を調べ、改善策につながるまで取り上げてほしい」と、継続的な報道を求める投稿者もいた。

 また、特別養護老人ホームで複数の専門職を兼ねているという40代後半の投稿者からは「私も手取り17万円ほど。厳しい条件は保育士だけではないことを理解してもらいたい」との意見が寄せられた。

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 福井新聞「みんなで発掘 ふくい特報班」(ふく特)は、暮らしの中で感じた疑問や地域の困りごと、不正の告発といった情報を寄せていただき、記者が取材を進める調査報道企画です。