現地4月14日(日本時間15日)にドジャースタジアムで行われた試合で、とある男性ファンが、敵チームの選手が放ったホームランボールをキャッチした際の対処方法を披露し、話題となっている。

問題のシーンは4回表に訪れた。パドレスのマニー・マチャドが左中間スタンドへ先制ソロホームランを放つと、これを見事グラブでキャッチしたドジャースファンの男性がボールをフィールドへ投げ返す『お約束』を実行した。

しかし、リプレー検証やビデオ判定は、ファンにとっても他人事ではないようで、現地中継でこの場面がスロー再生されると、男性がホームランボールをグラブにキープしつつ、持参したボールをポケットから取り出してフィールドへ投げ込む、文字通りの『替え球』作戦を決行していたことが明らかとなったのである。

『MLB.com』は試合後、この場面を伝える記事を掲載し、その冒頭で「野球ファンは時として、ホームランボールをキャッチすると、それがビジターチームの選手が放ったホームランだった場合、多くの球場で伝統となっているように、それをフィールドへ投げ返すべきか、あるいは周囲のファンの憤怒というリスクと引き換えに、ボールをキープすべきかというジレンマに直面する」と前置き。

その上で、「日曜の夜にドジャースタジアムの左翼ブリーチャーに座っていた1人のファンは、『両方やる』という解決策を考え出した」と伝えている。なお、現地でこの試合を中継していた『ESPN』はリポーターをスタンドに派遣し、試合中、この男性ファンに直撃インタビューを実行。男性の曰く、「(テレビのリプレーで)摘発されちゃったね」とコメント。

「でも、嫌われているパドレスの選手がホームランを打ったときは、ボールを投げ返さないと、忠実なドジャースファンから大ブーイングを浴びるから。僕には前にそういうことがあったんだ。だから、準備しておこうと思って、ポケットにボールを入れてきた。もし、本当にそうなった場合を想定してね」と説明。

そして、「強打者のマチャドだったから、来るかもしれないと思って準備していたんだ。(周囲のファンの反応について問われると)スタンドの皆には替え球作戦は気付かれなかったし、皆、僕が投げ返したことに満足し、僕にハイファイブしていたよ。これを見破ったのは、テレビ中継だけみたいだね」。

「(ボールをどうするかについては)間違いなく、これはキープさ。妻は気に入らないかもしれないけど。僕はボールを集めるのが趣味で、すでにたくさん持っているから。でもこれは、間違いなく飾り戸棚行きだね」とのこと。

この替え球作戦の顛末は、ボールパークに渦巻く本音と建前が、微笑ましくも見事に描かれた一場面だったと言えよう。