【二刀流の血脈 世界に誇るパワー編】#6

 ドジャースで活躍する大谷翔平(29)はいかにして世界屈指のパワーを手に入れたのか。

 日刊ゲンダイが過去に連載した「秘話 大谷翔平『二刀流の血脈』」をパワーに焦点を当てて再編し、その軌跡を紐解いていく。【第5回】からつづく。

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 23年はパワーでメジャーの頂点を極めた一方で、肉体が悲鳴を上げた。自身2度目となる右肘靱帯損傷だ。

 日本時間8月24日、レッズとのダブルヘッダーの第1試合で二回途中降板。精密検査の結果、損傷が判明した。

 大谷は開幕前から投打の二刀流でフル稼働した。3月のWBCでは侍ジャパンの3大会ぶりの世界一に貢献してMVPを獲得。米国との決勝から9日後のアスレチックス戦で2年連続開幕投手を務めると、その後は原則中5日のローテで先発登板。登板時も打者として出場するリアル二刀流で、右肘靱帯損傷が判明した24日時点で128試合中、126試合に出場していた。

 レギュラーですら、休養を取りながら長いシーズンを戦うのが当然のメジャーで、打って投げてほとんど無休で試合に出続けたのは異例といえる。

 しばしばマメや爪の割れに悩まされ、右手中指に加えて、全身のけいれんも経験。右腕の疲労で登板を延期したこともあった。そしてついに、右肘靱帯がパンクしたのだ。

 それでも打者として出場を続けていたが、右脇腹痛に加え、すでにプレーオフ進出の可能性も消えていたため、9月19日に右肘靱帯修復手術を受けた。

 オフにFAでドジャースに移籍したものの、自身2度目の手術によって、今季は野手に専念することに。オフは毎年、帰国して都内でトレーニングを続けるが、今回はとんぼ返り。ドジャースの入団会見の直後から連日、ドジャースタジアムでトレーニングを行った。

 米国のファンがドジャースのスタジアムツアーに行くと、必ずといっていいほど大谷のトレーニング姿が見られるため、「彼は球場のスイートルームに住んでいるんじゃないか」というコメントがSNSに寄せられたくらいだ。(最終話につづく)

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大谷は今年のテーマのひとつに「走ること」を挙げている。デジタルブラジャー着用で鍛え抜いた下半身は「極太」に増大していてーー。

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