中国浙江省に位置する世界最大の映画スタジオ・横店影視城。毎年、時代劇の制作渋滞が巻き起こるこの場所で、スターを夢見る若者たちのエキストラ人生が波紋を呼んでいる。

最新の統計によると、横店を拠点に活動しているエキストラの人数は13万人を超え、中には「横漂族」と呼ばれる若い美男美女が高い割合を占めていると伝えられている。各ドラマの現場をさすらいながら本物の役者になるのが彼らの夢だが、その道は果てしなく険しい。

横店でよく見掛けるエキストラは大体、ギャラの低い一般エキストラ、役付きエキストラ、レギュラーエキストラに分かれている。

一般エキストラは午前3〜4時からスタンバイしたり、顔すら映らない群衆に埋もれたり、戦争シーンでは厚い甲冑(かっちゅう)を着たままダッシュしたりと、指示に従って基本的な動きと表情を作り、時間と体力、収入が一番削られる組。

役付きとレギュラーの類いになると、せりふと出演シーンが増えることで給料も高くなり、横店を訪れたファンから名前で呼ばれたりもするが、本物のスターに比べるとまだほど遠い。エキストラとして同じループを繰り返すうちに、ドラマ出演は単なる生計を立てるバイトでしかなかったりする。残酷な現実がスターを目指す若者の夢を引き裂いているのだ。

こうした中、展望暗転の若者の前に差し込んだ一筋の希望が最近ドラマ界に吹き荒れるショートドラマのブーム。低い制作費と速い資金回収、量産、ハイクオリティーなどで急速にシェアを拡大し、多くのエキストラを引き付けた。その結果、今年3月には一般ドラマの制作現場で「エキストラ不足」の緊急事態が発生するほどだった。


しかし、ショートドラマブームは本当に若者の逆転チャンスになるのか。「仕事の機会は増えたが、本物の役者になる可能性は低い」「でも努力すれば夢はかなう」というのが彼らが出した冷静で前向きな答えだ。優れた容姿、経験の積み重ねはもちろん、突然舞い降りる「幸運」の方が最も大事と見なされている。

「役者になりたい」「スターになりたい」という夢を持つエキストラは一念通天の固い信念で今も横店でいばらの道を突き進んでいるようだ。(編集/RR)