[ストレーザ(イタリア) 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、日本経済の先行きに関し、持ち直すとの見方に変わりないと述べた。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、現地で記者団に語った。

1―3月期実質GDPがマイナス成長だったことについては自動車の生産・出荷停止の影響が出たと指摘。一方、事前に予想されていた動きとし、「4月会合後のデータだが、基本的な日本経済についての認識はそのデータを経たあとでも、4月の会合時点から大きく変わっていない」と語った。

植田総裁は「残存するインフレ圧力の消費への下押しの影響も予想されていたこと」とし、「第2・四半期以降、自動車まわりのところは改善に向かうと思うし、第1の力からくるインフレのところは減衰していく。予想される名目賃金の上昇で実質所得に上向きの力が働くことから持ち直すという全体的な姿には、今のところ変化はない」と述べた。

世界経済に関しても「(4月会合時から)大きく動いていないと思う」とした。

最大の焦点は「米国経済がソフトランディングの最後のワンマイルをどういう風に完走するのか、あるいはうまくいかないのかというところ」と言及。今回のG7で「色々、皆さんと議論してみたい」と語った。

欧州経済を巡り「少し弱めだったヨーロッパ経済が底打ちに向かうという話もあるが、その辺についてもどう考えているかということを議論したい」とも語った。

「中東情勢やその他のリスクもあるが、新しいものがここにきて出てきたというわけではないと思っている」との認識も示した。