青森県南部町のNPO法人三本の木フレンド(林悦子理事長)は、ウクライナの家庭で食べられているパンを作り、町内で販売している。母国・ウクライナから同町に家族5人で避難していたオルハさん(40代)から作り方を教わった。同法人はこの1年間販売したパンの売り上げの1割と店頭で募った募金合わせて30万円を、ウクライナ人道危機救援金として日本赤十字社へ寄付した。

 オルハさん一家は夫・ビトルドさん(50代)と娘のテチアナさん(20代)、息子のキリロさん(10代)、テチアナさんの息子マルコ君(10歳未満)。2022年10月から23年6月まで、同町に避難し暮らした。オルハさんは同年3月、障がい者の就労支援などをしている同法人の職員に採用されると、ウクライナの代表的なパンや菓子作りに取り組んだ。同法人は町内で運営する産直所「おやさいの集会所」でそのパンを販売。オルハさんが帰国後も販売を続け、売れ行きは好調だという。

 販売しているパンは、同町産アンズと洋ナシを使った2種類のカラチやニンニクブレッドなど。オルハさんから伝授されたレシピに従い、味を守っているという林理事長は「カラチはウクライナではパーティーなどでお客に出す菓子パン。食べたことのない味でとてもおいしい」と話す。

 林理事長によると、昨年3月にオルハさんを職員に迎えた際、ウクライナの代表的なパンを作って販売し、日本から母国を応援しませんか−と提案。「それはとてもいいことです−と答えたオルハさんのその時の笑顔が今でも忘れられない」と言う。

 林理事長は18日、南部町役場を訪れ、オルハさん一家の安全とウクライナの一日も早い平和を願うメッセージを添え、日赤南部町分区長の工藤祐直町長に救援金の目録を手渡した。併せて「能登半島地震災害義援金」10万円も寄託した。