各地で梅雨入りする6月、そして夏まっさかりの8月。では、7月は…?ちょっとイメージがしづらいかもしれませんね。でも7月は気温と気圧がジェットコースターのように変化し、あらかじめ知っておかないと後悔するような重要な特徴があるのです。

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、7月の天気の特徴と気をつけたいポイントを解説してもらいます。

7月前半:梅雨末期の豪雨

梅雨入りや梅雨明けの時期は地域によって多少違いがありますが、ほとんど地域では6月のうちに梅雨入りして、7月になってから梅雨明けします。そして梅雨の間は、ずっと同じように雨が降るわけではなく、大きな災害につながるような豪雨というのは、梅雨末期である7月前半に集中する傾向にあります。

ニュースで「平成〇年✕✕豪雨」などと名前をつけられた災害(「命名災害」といいます)が登場することがありますが、こういった災害の多くは、じつは7月前半に発生しているのです。

7月前半は梅雨前線に向かって熱帯から暖かく湿った空気が流れ込みやすく、また台風と梅雨前線の両方の影響を受ける場合もあって、大雨になりやすい条件がそろってしまうわけです。

7月後半:急激な猛暑

7月後半になると、各地で続々と梅雨明けが発表されるようになります(沖縄と奄美だけは、ひと足先に6月に梅雨明けすることが多いです)。

例年、梅雨明けを迎えると急激に気温が上がります。しかも夏の主役である太平洋高気圧が本州付近をしっかり覆って、ただ暑いだけでなくむし暑くなってしまうのです。熱中症とみられる症状で救急搬送される人が爆発的に増え、体調を崩す人が多くなる時期です。

しかも、7月前半には気圧が低い日が多かったのが、後半には一気に高止まりするようになります。気圧による体調変化というと、低気圧のときに体調をくずすイメージがあるかもしれませんが、気圧が高いせいで頭痛などを引き起こす場合もありますし、そもそも変化が大きいだけで調子が悪くなる人もいます。
さらに、この時期になると南の海上を台風が進むことが多くなり、遠くにある台風の影響で気圧変化が生じて、めまいや倦怠感につながることもあるのです。

ひと足先の対策を

豪雨と猛暑という、両極端な気候が同居する7月。少しでも安全かつ快適に乗り切るためには、常にひと足先の対策をしておくことがおすすめです。

たとえば、大雨災害への備えは、遅くとも6月のうちに。非常食として買ってある食べ物は、賞味期限が切れていないでしょうか。あるいは、子どもが成長するにつれて好みが変わった結果、じつは誰も食べたくない非常食ばかり備蓄しているかも。買い替えるなら6月のうちに済ませましょう。

そして、暑さ対策グッズは、7月のはじめまでにはそろえておきたいところ。梅雨明け後の高い気温・湿度のもとでは、衣服に熱がこもるとどんどん体温が上がって危険なので、首もとや袖が開いた風通しのよい服装も用意しておきたいですね。
また気圧変化による体調不良を防ぐために、食事や睡眠をしっかりとれるよう仕事などを調整したり、自律神経をととのえるためにお風呂にゆっくり入る習慣をつけるのもおすすめです。

準備のタイミングを知って7月を乗り切ろう!

気象予報士として仕事をしていると、いろんな人から毎年のように、梅雨末期には「梅雨入りしてから今までそんなに降っていなかったのに突然大雨になった」と言われたり、梅雨明け時には「突然暑くなってびっくりした」と言われたりします。

でも実際には、毎年(多少のズレはあっても)だいたい決まったタイミングで豪雨や暑さはやってきて、あらかじめタイミングを知っていれば準備しやすいものなのです。めまぐるしい天気の変化に見舞われる7月、ひと足先の備えをすることで上手に乗り切っていきましょう!

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。

編集/サンキュ!編集部