新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行して1年が経った。コロナ禍でおよそ3年続いたマスク生活。今、どのように変化したのか?

【映像】どんな仕組み? 最新技術を駆使し、街中のマスク着用の有無を一瞬で判別

 SNSでは「マスクをしてる人は目に見えて減ったな」「うちの職場ではいまだにマスク着用が必須」「電車の中とかは意外と多いっていう印象」などの声が上がるが、街でのマスクの着用率はどうなったのか? 

 街頭の様子を撮影し、システム開発会社「デジタルみらい」にマスク着用の有無をディープラーニング技術で分析してもらった。

 その結果、新宿では5類移行直前の2023年5月7日と比較すると着用率は1年で60%から40%に減少。確かに減ってはいるものの、新宿という人通りが激しい場所ということもあってか、40%という着用率に。

 実際に街の声を聞くと
 「外に出るときは(マスクを)している。一応電車とか。ただ家族は私以外みんなしていない。一人だけの予防に意味があるのかわからないが、なんとなく」(40代)
 「(コロナ禍以前は)花粉症の時期だけはしていた。(今は)生活の一部になっている。習慣化しているので」(医療従事者)
 「今ちょっと風邪気味で。その予防で一応している。普段はしていない時が多い」(20代)
 「1カ月前、花粉がひどかったのでマスクをしていたが、仕事が始まったので笑顔などを見せられるようにマスクを外している。人と接する仕事なのでマスクがない方が表情とか伝わっていいのかな」(20代)
 などそれぞれの事情が見えてきた。

 街の声やデータ分析を見た精神科医の熊代亨氏は「“コロナ対策”としてマスクを着用しているのか、それとも“おまじない”になっているのか、あるいは私たちの“文化”になったのかなどと考えてしまう」とした上でマスクのメリットについて「医療の観点から見ると、コロナウイルスに限らず、風邪やインフルエンザを互いにうつさないためにマスク着用は有益だ」と述べた。

 さらに熊代氏は「マスクがもたらすコミュニケーション面における懸念」を指摘した。

 「表情を十分学んで身につけている大人はいいが、保育園児や小学生は表情を読んだり、表情を作って返すノウハウをこの3年間、ちゃんと身につけるチャンスが与えられていたのだろうか。表情はコミュニケーションのチャンネルであり、マスクをすることでこれが一本失われることになる。特にコミュニケーションが不慣れな方、不器用な方にとって、チャンネルを1本失って練習の機会が減るということは小さくないダメージなのではないか」

 では、海外と比べた時に「日本人とマスク」には特異な点はあるのだろうか?

 熊代氏は「日本には花粉症があり、元々マスクに慣れていたことに加えて、日本人は 相手の心を読むときは『目』を見る。対して欧米人の方はどちらかというと『口』を見る。そのため、欧米人の方はマスクをされると『嘘をつかれてもわからない』と感じる。これは日本人がサングラスをかけられると相手の心が読めなくなることと似ている」と分析した。

 最後に熊代氏は日本におけるマスクの今後について「表情のやり取りが少ないカルチャーが今後も浸透したら“欧米とは違った何か”が生まれるかもしれない」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)