【MLB】ブルージェイズ3−1ドジャース(4月28日・日本時間29日/トロント)

 まるで一昔前のキャッチャーを見ているかのようだった。ドジャースの大谷翔平投手はブルージェイズとの3連戦の3試合目となるこの試合で「2番・DH」で出場。残念ながら4打数ノーヒットに打ち取られたが、この試合をリードしていたブルージェイズのカーク捕手に注目が集まった。

【映像】大谷の後ろで動き回る“ずんぐりむっくり”な捕手

 メキシコ出身の25歳のカークは身長173センチ、体重111キロといわゆるあんこ型体系の捕手。2022年からレギュラーに定着すると、いきなり14本塁打を放ってシルバースラッガー賞を受賞するなど強打の捕手としても知られるが、それ以上に評価が高いのがボール球をストライクと判定させるフレーミングと呼ばれるキャッチング技術。米サイト『baseball savant』によると、メジャー全体でも第3位にランクインするフレーミングの使い手である。

 そんなカークの個性が存分に発揮されたのが6回表のドジャースの攻撃。1死走者なしの場面で大谷が第3打席を迎えた時だった。ここまで好投を続ける先発のガウスマン投手を巧みにリードしてきたが、大谷に対してもカークは白いヘルメットをかぶってちょこまかと大谷の集中力を削ぐかのように動き続けた。

 そしてリード面でもガウスマンのストレートとスプリットを外角に集め、ストライクゾーンはスプリットばかりを投げさせた。第1打席でスプリットを捕らえてあわや本塁打となりそうな大飛球を打った大谷はこのスプリットに手を出し続け、カウントは2-2に。そして5球目、ガウスマンは155キロのストレートを内角低めに投げてきた。

 球こそ速いが、そのまま見逃せばボールとなるのはほぼ確実。しかし、このコースのフレーミング成功率73%を誇るカークはキャッチャーミットを上から被せるように捕球してさらにミットをグイッとストライクゾーンに押し上げた。見事なフレーミング技術に主審もストライクの判定を出し、大谷は見逃し三振でアウト。悔しそうに首を振りながらベンチへと戻っていった。

 さらにカークはこの試合、バットでも大活躍。第1打席では本塁打を放つとその後も2安打を放ち、3打数3安打の猛打賞。また3回表にはアウトマンの打球を体型に似つかわしくない俊敏な動きでさばいてキャッチャーゴロに仕留めるなど、守備でも躍動。この日のABEMA実況席もカークの体型やプレーに注目したようで「ひと昔前のキャッチャー体型」「ずんぐりむっくり」「昔の少年野球にいた感じ」といったコメントが見られた。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)