「収入の10倍を無料で手に入れましょう現在の参加者数は87,682名!」(偽の広告)

【映像】森永康平氏「父は相当怒っている」…胸中語る

 フェイスブックなどで著名人の画像を無断で使い、嘘の投資話を持ちかけて現金をだまし取る「SNS型投資詐欺」。偽の広告には前澤友作さんや堀江貴文さんといった、著名人らが使われる中、こんな人物も…。

 「皆さんこんにちは、森永卓郎です。」(偽の広告)

 経済アナリスト・森永卓郎氏(66)をかたった広告。森永氏は2023年の年末にステージ4の膵臓がんであることを公表。現在も働きながら治療を続けている。

 「最近、膵臓がん(第4期)を患っています。年齢の増加とともに、免疫力が低下し、病状が次第に悪化しています。私は残りの時間があまりないと感じています」(偽の広告より抜粋)

 広告には、自身の病状について「日々悪化している」と伝えながら、「自らが学んだ株式投資と財務の経験を無料で提供する」として、LINEに追加するよう誘導する文言が掲載されている。森永氏の名前を使った広告は他にも多数確認されている。

 巧妙化し続ける犯行。警察庁はこうしたSNS型投資詐欺について初めて調査をした結果、去年だけで被害は全国で2271件、およそ278億円あったと発表。

 一部の被害者はこうしたニセの広告を掲載し続けているMeta社の日本法人「フェイスブックジャパン」に対し損害賠償を求め、4月中にも集団訴訟を起こす予定だ。

 こうした状況をうけ、Meta社は16日、ホームページで声明を発表している。

 「オンライン詐欺は、インターネットを通じて世界中の人々を標的とする社会全体の脅威です。Metaでは人による審査と自動検知を組み合わせています。審査チームには日本語や日本の文化的背景、ニュアンスを理解する人員を備えています。オンライン上の詐欺が今後も存在し続ける中で、詐欺対策の進展には、産業界そして専門家や関連機関との連携による、社会全体でのアプローチが重要だと考えます。Metaとして、その中で役割を果たすべく注力する所存です」(声明より抜粋)

 森永卓郎氏の息子で経済アナリストの森永康平氏は卓郎氏と自身の名前で投資を募る広告について「基本的に全て偽物だ。父や私に講演を依頼した主催者が集客のために広告を打つことはあるが、父や私が個人で広告を出すことはまずない」と憤りを見せた。

 巧妙化する手口については「手が込んでいる」と警鐘を鳴らす。

 「父がラジオなどで話した内容をタイムリーに詐欺広告に反映させるものもある。すると、父のファンの方であれば『この間ラジオで言ってた話だ』と、信憑性が高まり騙されてしまう」

 さらに、卓郎氏の病気を利用する行為については「人のお金を盗むという最悪な詐欺行為をやりながら、さらに闘病中の人を支える家族も多い中で病気を利用するのは悪質すぎる。とはいえ、そもそも詐欺をしている時点で道徳心や倫理感がない人たちなので意外ではない」と語った。

 康平氏は卓郎氏と本件について話し合うこともあるという。

 「父親は本件に関しては相当怒っている。あまりにも被害が多いため、先日警察からも連絡が来たらしい。仮に法的な戦いとなった際には被害者として全面協力してほしいと依頼があり、父は承諾した」

 多くの被害が出ているにもかかわらず、事態が改善しないことについて康平氏は「Meta社が発表した文章を見ると『一応課題としては認識してますよ』程度で、具体的に何をいつまでやるかという話は出ておらず本腰を入れていないようだ。もしこの状況が続くようであれば、国が『Meta社の広告が元で被害が出た場合、被害の一部をMeta社が負担する』などの厳しいルールを作るしかない。だが、あまりにも厳しいルールを政府が作ってしまうと民間企業が仕事をやりづらくなるため、政府が動く前にMeta社にきちんと対応してほしい」と考えを示した。

 さらにMeta社に対して「Meta社が詐欺をしているとは思わないが、結果として彼らは広告掲載料をもらい、その広告が詐欺被害を招いているのであれば、意図せずとはいえ、詐欺の片棒を担いでるのと同じになってしまう。Meta社の運営するSNSに広告を出すこと自体がその会社のブランドを毀損すると思われかねないため、自社を守る意味でもきちんと広告審査を行い、対策のための投資は惜しまないという態度を早々に示した方がいい」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)