ゼロから作った人工衛星をロケットで打ち上げる企画「田村淳の宇宙チャレンジ24」。予算や時間の問題で一度、断念しかけた同企画が「田村淳の宇宙チャレンジ25」として再スタートを切った。規模を縮小してでも宇宙に挑戦したい!という思いの元、クラウドファンディングで資金を募ることに。支援をしてくれた人たちの名前を人工衛星に刻み、無限の宇宙に打ち上げる――。宇宙チャレンジの全貌は2025年3月、AMEMA特番にて放送予定だ。紆余曲折ありながらも、再び夢を叶える一歩目を踏み出した田村淳に、同企画について、そしてチャレンジし続けるマインドについて話を聞いた。

「見ている人に意外と宇宙って身近だなと感じてもらえたら」田村淳の狙い

――一度、頓挫しかけた企画が、無事再スタートを切りました。今のお気持ちを教えてください。

再スタートして、最初の計画よりも規模が小さくなった部分はありますが、個人の夢からみんなの夢になって、宇宙に羽ばたいていくことにワクワクする気持ちに変わりはないです。むしろ「H3ロケット」の打ち上げが成功したり、「SLIM」が月面着陸に成功したりと、宇宙への関心が高まっているときに、この再スタートを切れてうれしいですね。

――淳さんは子供のころから宇宙に興味を持っていたそうですが、なにかきっかけがあったんでしょうか。

宇宙ってわからないことだらけなのに、『宇宙戦艦ヤマト』とか『銀河鉄道』とか、大人たちが宇宙についてたくさん描いていたので。めっちゃ知らないのにめっちゃ描くな〜って不思議に思っていたのが始まりです。そんなとき学校で「宇宙の果てをどこまで想像できるか」って先生から授業中に聞かれたことがありまして。僕は、水金地火木くらいまでしか想像できなかったんだけど、銀河団っていうのがあって、さらに銀河団がたくさん集まっている超銀河団っていうのがあって…。と、どんどんスケールが大きくなっていく様子を先生が黒板に書いて説明してくれたんです。想像がつかないほどの果てがあることにすげえ〜って感動しました。当時から、知らないことを知りたいという願望が強かったので、その話を聞いたときにめちゃくちゃドキドキした記憶があります。

――子供のころから興味を持っていたことが形になるってすごいですね。企画のオファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか。

『下町ロケット』のモデルになった植松電機の植松勉さんに会ったときに、「夢はたくさん人に語りなさい」と言われました。その通りに実践していたら、今回のオファーをいただいたので、その通りになった! 植松さんに近づけたかもしれないって思いました。この企画がうまくいったら、植松さんが持っている実験施設が北海道にあるので、そういうところにも行ってみたいですね。

――次の段階のこともすでに考えているんですね。人口衛星が宇宙に飛び立つことでどんなことを楽しみにしていますか。

見ている人が意外と宇宙って身近だなって感じて、なにかしら宇宙に関してのアクションを起こすきっかけになるといいですよね。ロケットを作るとか衛星に携わるとか、宇宙を研究するとか、そんなことのきっかけになるような気がします。

――淳さんも今回の企画以外に宇宙に対してアクションを起こしているんですか。

昨年、ロケットマイスターという資格を取得して、子供たちのためにロケット教室2回開催しました。アルファセブン型という小型ロケットを子供たちに手作りしてもらって、打ち上げるというロケット教室です。めっちゃ楽しいですよ。小さいけど、本当のロケットの燃料で飛ばすので、200キロのスピードで40メートルを飛んでいくんです。自分が作ったものが重力を離れて飛び立って行く姿を見ると、自己肯定感が爆上がりして、前向きになります。

――すごく楽しそうです。淳さんのお子様も一緒に飛ばしたんですか。

資格を取りに行くときに一緒に行って、北海道の赤平市でロケットを作らせました。ロケットを作れるなんて、みんな思ってないし、自分が作ったものが空高く飛ぶなんて経験をしたことがないので、一つの大きな成功体験になったと思います。「私はロケットを飛ばしたことがあるんだ」という自信が、別のことに挑戦するときにも、今回もできる!という自信につながっていく気がします。

心が動いたら夢リストにメモ「人生の中でやりきれないくらい夢がある」

――淳さんは、これまでもいろんなことに挑戦して夢を叶えてきました。夢を叶えるため、目標を達成するため必要なこと、心がけなどあったら教えてください。

さっき言っていたように人に語るということと、あとはたくさん夢を持つことですね。僕は、興味や関心を持ったら、iPhoneのメモ帳に夢リストとして書くようにしています。やりたいことや挑戦してみたいことは日々更新されるし、自分の人生の中でやり切れないくらい夢があるので。

――夢をたくさん持つということも難しい印象があります。淳さんは、夢を見つけるのも上手なんですね。

母ちゃんが「三日坊主上等だ」ってよく言っていました。「やりたいと思ったらすぐにやりなさい。でも時間の無駄だからやめたいと思ったらすぐやめなさい」って。「その代わり、辞めたい理由と次にやりたいものを私に教えてね」って。子供のころから、「やりたい」も「やめたい」も気軽に言えていたので、癖になっているのかもしれません。周りの友達と話をすると、「習い事をしたら1年はやってみなさい」と言われたという人が多い。1年も経たないうちに本当はやめたいと思っていたのに、やらされていたという人が本当に多いんです。僕は、やりたいものの数を打っているので、到達しやすいマインドになっているのかもしれません。

――確かに。何故か一度、始めたらすぐには辞めてはいけないと思い込んでいました。やりたいことを見つけるコツはありますか。

心が奪われているのか、目が奪われているかを考えています。よく花火を例にしていますが、花火って美しくて目を奪われるじゃないですか。もし心が奪われていたら、あの花火を打ち上げてみたいとか、上から見たいとか、次のアクションに繋がります。僕の場合は、心を奪われた瞬間に勝手に体が動いて、調べたり、誰かに連絡をしていたりしますね。

――ちなみに今はどんな夢があるんですか。

今は日本1周、移動式サウナをけん引免許の取得、海外に住む、娘とギターでセッションする、量子力学を学ぶっていう。

――量子力学ですか?

最近、バークレー大学の教授に授業をしてもらって、めっちゃ難しかったんですけど、ドキドキしたので、学んでみたくなりました。

――ギターのセッションから量子力学まで…。

叶えられると成功体験になるので。前向きになるじゃないですか。最近達成したのは、無人タクシーに乗るということ。サンフランシスコに行って乗って来ましたけど、もうタクシードライバーはいらないなって思いました。

――素晴らしいですね。私も見習いたいです。最後に、番組の視聴者にメッセージ、見どころをお願いいたします!

宇宙と言われると、果てしなくて想像が及ばないという空気感の人が多いと思います。でも意外と宇宙は身近で、手を伸ばせばそこにある存在だったりします。でも手が届いても、もっと向こう側があって知れば知るほどワクワクします。この番組を通して宇宙の入り口を知ってもらえたらうれしいし、衛星の打ち上げが成功するのか否か、番組を通じて体験してほしいです。

――ありがとうございます! 衛星の打ち上げを楽しみにしています。

取材・文:氏家裕子
写真:You Ishii