東京商工リサーチ和歌山支店がまとめた2023年度の和歌山県内企業の倒産状況(負債額1千万円以上)によると、倒産件数は89件で前年度より14件(18・6%)増え、コロナ禍が始まった20年度以降で最も多かった。一方、負債総額は大型倒産が少なかったため、前年度より16億6300万円(26・3%)減って46億5400万円となり、20年度以降で最も少なかった。
 過去20年間でみると、倒産は05〜12年度に100件を超え、とりわけリーマンショックがあった2008年度から3年間は150件に達した。その後は2桁で推移しており、コロナ禍中の21年度が62件で最少だった。22年度は75件で、23年度は10年代中頃と同じような件数になった。
 中小零細企業の倒産が多く、要因は販売不振が最多の82件。産業別ではサービス業他が最多の34件で、次いで建設業の20件。負債額が1億円を超える倒産は8件と少なく、小口倒産が多かった。
 市町村別では和歌山市56件、岩出市5件、海南市と紀の川市、橋本市、有田川町、田辺市が各3件、高野町と由良町、御坊市、有田市、串本町が各2件、印南町と上富田町、古座川町が各1件。
 同支店は「政府や自治体からの補助金など手厚い支援策の終了に加え、コロナ融資返済をはじめ、物価高や人手不足の顕在化に伴うコスト高や人件費上昇など、経営環境は厳しさを増しており、中小零細企業を中心にさらに淘汰(とうた)が進むとみられる」とみている。
3月の倒産10件

 3月の倒産件数は10件で、負債総額は2億2600万円だった。紀南地方の倒産はなかった。
 倒産件数は前月と同数で、昨年3月より2件多い。
 産業別では小売業4件、建設業3件、サービス業他2件、卸売業1件。原因は販売不振が8件で最多。負債額別でみると、全てが5千万円以下の小口倒産だった。
 市町村別では和歌山市7件、由良町と岩出市、高野町が各1件。