老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、国民健康保険に切り替わり、65歳以降の年金受給額が減ることを心配している方からの質問です。

■Q:60歳定年後、社会保険に加入しながら働いていましたが、国保に替わります。今までどおり社会保険に加入したほうがいいですか?
「60歳定年後、パートで30時間以上働いていましたが、先日から週30時間に満たない勤務で社会保険を外れました。国民健康保険に切り替わりました。心配なのは厚生年金から外れることで65歳以降の年金受給額が減ることです。今までどおり30時間以上の勤務で社会保険をかけていたほうがよいのか相談したいです。仕事がキツイので勤務時間を減らしたいという悩みもあります」(みの)

■A:週30時間以上働き社会保険に入るのはメリットが大きいですが、仕事がキツイ場合は、「国民健康保険」と「現在の職場の健康保険の任意継続の保険料」を比較して安いほうに入りましょう
相談者「みの」さんの勤務先は、従業員数(社会保険の被保険者となる従業員数)100人以下の事業所なのでしょう。従業員数100人以下の勤務先の場合、週30時間未満の労働時間であれば、社会保険から外れてしまいます。

「みの」さんは社会保険から外れた場合、国民健康保険料の支払いや65歳以降の老齢厚生年金額が増えないことを心配しているようです。もし、週30時間以上働くことができて、会社も認めるのであれば、60歳以降も社会保険(厚生年金・健康保険)に入り続けたほうがメリットが大きいと思います。65歳以降の老齢厚生年金額を増やすこともできるからです。

「みの」さんが週30時間以上働くのがキツイようであれば、社会保険から外れることになります。その場合、「国民健康保険」と「現在の職場の健康保険の任意継続の保険料」を比較して安いほうに入りましょう。任意継続の健康保険料は、前年の所得で計算される国民健康保険料より安くなることが多いです。

一方で国民健康保険料は割高ですが、会社を退職した場合や世帯の所得が少なくなった場合等は減免の制度に該当する可能性があります。市区町村役場に確認してみましょう。

また、社会保険から外れる場合の老齢年金についてですが、もし60歳になるまで国民年金保険料を480カ月支払っていない場合、60歳以降、任意で国民年金保険料を支払えば65歳以降の老齢基礎年金を増やすことはできます。

ちなみに、従業員数が51人以上いる会社であれば2024年(令和6年)10月より週20時間以上働けば社会保険に入れるようになります。

「みの」さんの職場の従業員数が51人以上であれば、2024年(令和6年)10月以降、社会保険の適用事務所となり、社会保険に入れるようになるかもしれません。その点を現在の職場に確認してみてはいかがでしょうか?

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。

拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)