能登半島地震から4カ月。いざという時に備えようと、長期保存ができる備蓄食品に注目が集まっている。東海地方の食品メーカーが手がける商品の売り上げも伸びており、増産態勢や商品拡充の検討も進んでいる。

 「あずきバー」で知られる井村屋(津市)は、食べきりサイズの備蓄食品「えいようかん」を販売している。すっきりした甘さで、水がなくても食べやすいよう加工しているのが特徴だ。

 2007年に賞味期限3年の初代を発売し、11年の東日本大震災の直後に、現在の賞味期限5年半の商品を出した。15年に発売した「チョコえいようかん」も合わせたシリーズ全体の出荷数は、右肩上がりに伸びてきているという。

 能登半島地震が起こり、防災意識が高まったこともあり、1〜3月の出荷数は前年同時期の約2.2倍と一気に増えた。人員の配置などを見直し、増産に動いているという。

 井村屋は4月から、賞味期限5年半の備蓄用ゆであずきの販売も始めた。量は通常缶の半分以下の食べきりサイズで、乾パンなどにつけて食べることを想定する。担当者は「備蓄食品の提供を通じて、防災意識の向上につなげられたら」と話す。

 カゴメ(名古屋市)は、賞味期限が5年半の野菜ジュース「長期保存用 野菜一日これ一本」を生産する。能登半島地震が起こった1月の出荷数は前年の2倍以上となり、一時は生産が追いつかないほどに。1〜3月の出荷本数は昨年の同時期よりも約5割増えたといい、新たな備蓄食品の開発も検討していくという。

 敷島製パン(名古屋市)は、賞味期限が1カ月以上の「ロングライフブレッド」を自社のオンラインサイトで販売している。1〜3月の出荷数は昨年同時期よりも約2割増えた。能登半島地震の支援として、これまで5回にわたり、ロングライフブレッドなど約7万4千個のパンを届けた。被災自治体などからは「日持ちするため取り扱いがしやすい」との反響があったという。(渡辺杏果)