高速道路の料金所で使うETCカードを兄に貸したら、不当に料金割引を得る詐欺にあたるとして、逮捕・起訴された。弁護側は「家族間の貸し借りは多くの人がやっていること」で、それが罪に当たるとなれば「社会は犯罪者であふれる」と反論する。8日、司法の判断が示される。(山本逸生、華野優気)

■検察側「1400円をだましとった」と主張

 電子計算機使用詐欺の罪で逮捕・起訴されたのは、ETCカードを使った大阪市内の男(67)と貸した同居の弟(62)、車を運転していた男(42)の3人だ。

 大阪地裁で昨年6月にあった初公判で、検察側はこう訴えた。

 3人は共謀して2022年11〜12月、車に同乗していない弟のETCカードで大阪府内の有料道路を2回走り、高速道路会社をだまして計1400円の割引を得た。同社の営業規則やETCカード発行会社の規約には、カードは本人だけが使えると書いてある。不正は明らかだ――。

 証人として両社の担当者も出廷。「家族の同意があっても、判明すれば(通行は)断る」と証言した。

■弁護側「社会は犯罪者であふれる」と反論

 対する弁護側は、「犯罪の故意がなければ無罪」という刑法の規定を踏まえて、「罪に当たるとは知らなかった」と反論した。