大津市で保護司の新庄博志さん(60)が殺害された事件を受け、県保護司会連合会など関係団体が27日、県庁で三日月大造滋賀県知事と意見交換した。県と各団体は事件後も更生保護や再犯防止の活動を充実させていくという。

 県保護司会連合会の漢(あや)正史会長や県更生保護事業協会の大道良夫理事長ら7人が参加。冒頭、三日月知事が「更生保護や再犯防止の活動が停滞・後退することがないように取り組み、差別や偏見が広がるのも防がねばならない。声を聴かせてほしい」と呼びかけた。

 会合は非公開。三日月知事らの説明によると、保護司らが活動を継続する強い気持ちを持っている▽県の再犯防止推進計画を継続的に検証する▽新庄さんが取り組んでいた地域ネットワークで立ち直りを支援する「滋賀KANAMEプロジェクト」を受け継ぐ、などを確認したという。

 県内の保護司の充足率は98%だが、高齢化や家族の不安などが指摘された。保護司が自宅で、あるいは1人で対象者と面会することへの不安もあるとされたが、「自宅の方が家庭的な雰囲気があって話しやすい」「公的施設は夜間に使いづらい」といった声もあり、三日月知事は「掘り下げて対策を考える」と応じたという。

 漢会長は「このピンチをチャンスに変え、活動をますます発展させていきたい。それには県民の理解が必要。(罪を犯すことは)いつ、だれに起こるかわからない。自分の問題として考えてほしい」と話した。新庄さんが亡くなったことについては「残念と言うしかない。大きな痛手。KANAMEプロジェクトはこれからというところだったのに」と悲しんだ。

 会合後、大津保護観察所の宮山芳久所長が岸田文雄首相の「保護司、ボランティア、地域の方々のご理解とご協力をいただきながら、犯罪と非行のない安全で明るい地域社会を築いてまいりましょう」というメッセージを三日月知事に渡した。三日月知事は「みんなで支え合って、すべての人にとって住みやすい社会をつくるため、力を合わせてがんばりましょう」と訴えた。

 この日の朝には、7月の「再犯防止啓発月間」を前に、保護司やボランティアら約20人が大津市のJR大津駅前で、更生保護活動などへの理解を求めるチラシを配った。(武部真明)