広島県内では1日、大雨のため広島市内などで避難指示が出され、多くの学校が休校になった。県警などによると、けが人は確認されていないが、住宅の敷地に土砂が流れ込むなどの被害があった。在来線の電車は始発から運休し、通勤の足にも影響が出た。雨は2日も降る見込みで、広島地方気象台は土砂災害への警戒を呼びかけている。

 JR西日本は1日、県内を通る在来線全線で始発から運転を見合わせたり、取りやめたりした。JR広島駅近くの職場に向かっていた広島市西区の会社員、関口和世さん(54)は運転見合わせを知り、電車からバスに切り替えて出勤した。電車であれば30分ほどだが、3倍の時間がかかったという。「電車が止まると聞いていたので、そのつもりで来たが、予想以上に時間がかかった。職場には遅刻すると連絡を入れた」と話した。

 観光客も影響を受けた。オランダから来たレンズ・ペーパーカンプさん(33)は、交通費節約のため在来線で京都に向かう予定だったが、「気象情報は携帯に届いていたが、まさか電車が全部止まっているとは」と、広島駅の改札前でため息をついた。

 県によると、広島市や呉市など11市町で避難指示が出され、午後2時時点で198人が避難した。また県教育委員会によると、県内784の小中高校などの公立学校のうち、523校が休校になった。

 三原市では河川改修工事のための仮設道路の法面(のりめん)が崩壊したほか、民家の裏山が高さ5〜6メートルの範囲で崩れた。尾道市でも、裏山が崩れるなどして住宅敷地に土砂が流れ込む被害が複数報告された。

 県警によると、福山市では走行中の車に木が倒れたが、運転手にけがはなかったという。

 広島地方気象台によると、6月29日午後8時の降り始めから7月1日午後3時までの雨量は、廿日市市で183.5ミリ、広島市中区で140.5ミリ、東広島市で125.5ミリ。2日も県内では昼前まで激しい雨が降る予報という。(遠藤花、興野優平、菅野みゆき、大野晴香)