バイデン米大統領が「日本は外国人嫌いで移民を望んでいない」などと発言した問題をめぐり、ホワイトハウスは2日、「米国は移民の国だと伝えたかった」と釈明に追われた。

 バイデン氏は1日、「我々の経済が成長している理由の一つは、移民を受け入れているからだ」とした上で、中国やロシアとともに日本やインドを名指しして、経済成長を阻害する要因として「外国人嫌い(xenophobic)だからだ。移民を望んでいない」などと発言した。2日のホワイトハウスの会見では、バイデン氏の発言の真意をただしたり、発言は不適切ではないかと尋ねたりする質問が相次いだ。

 カービー広報補佐官(国家安全保障担当)は2日の電話会見でバイデン氏の発言について、「大統領が主張したのは、米国は移民の国であり、それが我々のDNAに組み込まれているということだ」と説明した。「同盟国は、大統領がいかに同盟国に敬意を払い、貢献を重視しているかを理解している」とも強調した。

 ホワイトハウスのジャンピエール報道官も2日、バイデン氏の発言が日米関係に悪影響を与える懸念について記者団に問われ、「日米関係は重要で、民主的な価値や友情の絆を共有している」と述べ、日米関係への影響を否定した。

 バイデン氏は1日、ワシントンで開かれた11月の大統領選に向けた資金集めのイベントで、「なぜ中国は経済的にこれほど行き詰まっているのか。なぜ日本は困難を抱えているのか。なぜロシアは? なぜインドは? それは彼らが外国人嫌いだからだ。彼らは移民を望んでいない」と発言。「移民こそが我々を強くするのだ。貢献したいと願う労働者が流入している」と語っていた。

 米大統領選では「不法移民」をめぐる問題が大きな争点となっており、バイデン氏には米国における移民の役割を強調する狙いがあったとみられる。ただ米国が対抗する中ロと並んで、同盟国である日本や、対中国を念頭に関係強化を進めるインドへの批判とも捉えられる発言をしたことで、波紋を呼んでいる。(ワシントン=清宮涼)