滋賀県長浜市の長浜曳山祭は15日に本日(ほんび)を迎え、今年出番の四つの山組が子ども狂言(歌舞伎)を長浜八幡宮で奉納した。あでやかな装束を身にまとった6〜12歳の子どもたちが曳山の舞台で、りりしく優雅な演技を披露した。

 400年以上の歴史を持つ長浜曳山祭は、全国32の祭りや行事とともに2016年、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。

 この日は幕開けとして小学5年の家倉(やぐら)壯和(そうと)さん(10)が三番叟(さんばそう)を舞い、続いて、今年出番の諫皷山(かんこざん)、青海山(せいかいざん)、月宮殿(げっきゅうでん)、春日山(かすがざん)が子ども狂言を披露した。

 一番山を務めた諫皷山は新作「名物(めいぶつ)団子(だんご)嫁献立(よめのこんだて)」を演じた。松竹関西演劇室の劇作家・演出家、水口一夫さん(81)の作で、3月下旬から振り付けを習った。八幡宮前で茶屋を営む新婚夫婦は仲が良いが、夫の母は息子を取られたようで嫁につらく当たる。母から別れるように言いつけられた嫁と息子は琵琶湖に飛び込み心中を試みるが、最後は仲直りするという話。

 母役を演じた小学4年の村﨑蒼士(そうし)さん(9)は「お客さんが多くて緊張したが、思っていたよりもうまくできた」と話した。16日も各山組の町内や長浜文化芸術会館(長浜市大島町)で子ども狂言がある。(平岡和幸)