山形県南部の置賜地域の2消防本部が、119番通報を一括して受ける「置賜地域消防通信指令センター」の運用が4月から始まり、17日に開所式が米沢市であった。同地域の3市5町全域をカバーし、異なる消防組織が通信指令業務を共同運用するのは県内で初めて。経費削減を図り、大規模災害への対応を強化する。

 置賜広域行政事務組合は3市5町で構成しているが、消防業務は長井市など4市町が西置賜行政組合をつくって別々に運用している。それぞれの通信指令システムの更新時期を迎えたため、2020年から協議してきた。

 開所した指令センターは、高機能の通信指令システムを導入した。55インチのディスプレー10台があり、二つの消防本部の緊急車両計68台がどこにいて何をしているかがわかる。119番通報があれば、通報者の位置情報などを把握でき、出動車両に早く伝えることができる。

 これまでは、相互の出動協力要請は電話でやりとりなどをしていたという。出動の様子も、消防署のカメラから映し出される。

 2月29日から仮運用が始まっているが、相互に協力するような場面はこれまでのところないという。

 開所式で、広域行政事務組合の理事長を務める近藤洋介・米沢市長は「初動態勢の迅速化や災害対応力の向上などが期待されている」と述べた。(大谷秀幸)

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 消防指令業務の共同運用をめぐっては、北村山地域の3市1町も2025年度から導入することを決めている。統合により、広域での災害対応や設備などのコストの削減が可能になるメリットがある。置賜地域に続き、県内2例目となる見込み。

 東根、村山、尾花沢3市の消防本部でそれぞれ行っている通信指令業務を東根市に集約。新設する消防指令センターに各本部の職員が集まり、119番通報に一括して対応する。

 東根市の土田正剛市長は2月の記者会見で、「やがて(消防本部の)広域合併という話も出るんじゃないかなと思っている」と述べた。

 県消防救急課によると、北村山地域以外に消防指令業務の共同運用が具体化している地域はないという。(高橋昌宏)