スマホなどのチャット機能を使って、24時間態勢で孤独や孤立を感じる人の相談窓口を開くNPO法人「あなたのいばしょ」(東京都)と、奈良県生駒市が事業連携の協定を結んだ。

 市内から入った相談のうち、自殺や家庭内暴力(DV)、虐待などのリスクがある場合に、市が引き継いで支援にあたる。関西の自治体との連携は初めてとなる。

 同NPOは2020年3月に、法人名と同じ「あなたのいばしょ」(https://talkme.jp/)という無料、匿名で相談できるサイトを始めた。大空幸星(こうき)理事長によると、相談員は約1千人で、これまで応じた約100万件の相談の7割が、20代以下から寄せられたという。

 生駒市は孤立・孤独対策の一環として4月26日に同NPOとの協定を締結。5月1日から双方に連携担当者を置いて情報共有を図り、相談者が市内在住で、危機的な状況だと判断されたり、支援や保護が必要だとわかったりした場合に、市の福祉政策課などに引き継ぎ、市が対応する。

 大空理事長は「不登校の子どもは昼夜が逆転しているなど、相談は夜間が多い」と指摘する。市では独自に「いこまる相談窓口」を開設しているが、市はチャット相談と連携することで閉庁時間でも対応が可能になるとしている。

 市によると、2022年度の不登校の小中学生は266人で、16年度(138人)の2倍近くになっている。小紫雅史市長は締結式で「大きな課題だと受け止めている。若い世代には電話での相談に抵抗もあるようで、チャット相談は大きな受け皿になるのではないか」と述べた。

 同NPOは、神奈川県横須賀市や熊本市、熊本県宇城市とも同様の協定を結んでいる。大空理事長は「自殺を考えている人たちからの相談を傾聴することで、まずはゼロの状態にもっていくのが我々の役割。市の支援に引き継ぐことで、それをプラスへともっていくことができれば」と話した。(神田剛)