SNSで知り合った人に恋愛感情を利用され、金銭をだまし取られる「SNS型ロマンス詐欺」。府内の被害額は1月から3月までの3カ月間で約1億6千万円にのぼり、約1億2千万円だった昨年1年間を超えた。被害が急増しており、府警が注意を呼びかけている。

 府警特殊詐欺対策室によると、ロマンス詐欺の手口は例えばこうだ。

 被害者はある日、SNSで海外で働く軍人や医療関係者などをかたる異性と知り合う。最初はメッセージのやりとりから始まり、やがて親密になると、相手は「ゆくゆくは結婚したい」などと言うように。毎日やりとりを重ねるうちに、次第に被害者も恋愛感情を抱く。

 その後、「一時帰国のために交通費や宿泊費が必要」などと言って現金や仮想通貨を送るよう要求され、振り込んでしまう。架空の投資話をもちかけられるケースもある。

 SNSを利用した詐欺の被害が増えている理由として、被害者と直接会わずにやりとりができ、犯罪グループにとって効率が良いことが挙げられるという。数週間から数カ月間かけてやりとりを重ねて信頼させ、金銭をだまし取る手口が多い。1人あたりの被害額も大きい傾向にあるという。今年3月末までの平均被害額は約1500万円だった。

 12件の被害があった昨年は、女性の被害者が9人、男性が3人。知り合ったのは7件がインスタグラム、3件がマッチングアプリだった。その後のやりとりはLINEに移行していたという。

 特殊詐欺対策室の担当者は「会ったことのない人から投資話や送金依頼があったら、まずは身近な人や警察に相談してほしい」と呼びかけている。(関ゆみん)