宮下宗一郎知事は25日、「再エネ新税」の創設に向けた議論を始め、今年度内の関連条例制定を目指すと表明した。自然や地域との調和などが狙い。宮城県が4月に全国初の条例を施行しており、続く動きとして注目を集めそうだ。

 太陽光や風力など再生可能エネルギーをめぐっては近年、近隣住民とのトラブルや景観破壊などが問題視される。宮城県は4月に「再生可能エネルギー地域共生促進税」を導入。市町村が定める再エネ「促進区域」外で、面積が0・5ヘクタールを超える太陽光や風力、バイオマス発電施設の所有者から毎年、営業利益の20%程度に相当する額を徴収することで、再エネと自然の調和を促そうとしている。

 宮城県では、既存設備や条例施行前に工事に着手した施設は課税の対象外。一方、青森県は既存の施設もまずは対象外とせず、議論を始めるという。事業者にとっては遡及(そきゅう)的な適用となり、曲折が予想される。

 県は5月2日に環境政策や生態系などの専門家ら7人からなる有識者会議「青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生制度検討有識者会議」(東北大学大学院法学研究科の佐々木弘通教授ら)を始める。再エネ施設の立地を禁止するゾーニングや地域との合意形成などが論点となるほか、新税についての意見も聞く。初会合には宮下知事も出席し、今年度中に4回程度開催する。

 宮下知事はこれまで「青森の自然が都市の電力のために搾取されている構造を是正する」としてきた。25日の会見では「再エネ事業者への課税を前提に議論をしていきたい」と明言した。(野田佑介)