アイルトン・セナがイモラで悲劇的な死を遂げてから5月1日で30年となることから、世界中で追悼が行われようとしているが、市場にはF1の歴史に残る注目すべき品が登場した。売りに出されているのは、セナの象徴的な赤のホンダNSXで、彼自身と同じくらい伝説的なクルマだ。

 偉大なブラジル人の人生は、悪名高い1994年のF1サンマリノGPの週末において悲劇的に断ち切られた。しかし彼のレガシーは、特に母国の何世代ものレースファンにインスピレーションを与え続けている。

 今回売りに出される赤いNSXは、セナのコレクションのなかでも特別な存在だ。このクルマはセナが所有していた3台のNSXのうちの1台であるというだけではない。他に個人的にブラジルに置いていた黒のNSXと、マネージャーのアントニオ・ブラガが購入した別の黒いモデルがあるが、このNSXはポルトガルのアルガルベのキンタ・ド・ラルゴにある邸宅にセナが保管していたものなのだ。実際、1991年の有名な写真には、セナがまさにこのクルマを洗っている様子が写っており、彼が特にこのNSXに個人的な思い入れがあったことが強調されている。

 このクルマの現在の所有者であるイギリスのイーストサセックスに住むロバート・マクファーガンは、象徴的なマシンの販売をイギリスの大手自動車市場である『Auto Trader』に委託した。提示価格は50万ポンド(約9800万円)という驚異的な価格となっており、このクルマの比類のない歴史とモータースポーツの伝説との関連性を反映している。このクルマは1991年に初めて登録され、現在走行距離は3万9100マイル(約6万2925km)強となっている。

「私は2013年にポルトガルのアルガルベを旅行した際に初めてこのクルマを購入し、それ以来所有してきた。クルマはイーストサセックスの私の地所に誇らしげに置かれている」とマクファーガンはコメントした。

「セナの赤いNSXは、彼が商業パートナーシップを結んでいたホンダから贈られたもので、セナは頻繁に使用していた。ポルトガル滞在中に彼はクルマと一緒の写真を撮られた」

「私自身、セナの大ファンなので、このNSXを手に入れたときは嬉しかった。NSXは完璧に作り上げられており、洗練されたパワフルなマシンを備えていて、信じられないような走行経験を与えてくれる」

「真のスポーツ界のレジェンドが持っていた最も有名なクルマの1台を所有することは本当に喜びであり、セナのクルマを運転するスリルは決して消えることがない」

 NSXモデルはわずかな台数しか残っていないため、熱心なコレクターや熱烈なセナファンにとって、このNSXは自動車とレース両方の歴史に残る実車を得ることができる大変貴重な機会となる。『Auto Trader』のエディトリアルディレクターであるエリン・ベイカーは、次のように語った。

「イギリス最大の中古車および新車市場として、私たちは様々なサイズ、スタイル、価格帯の車両を毎日約45万台販売していますが、有名人や王族がかつて所有していたクルマが当社のサイトに掲載されているのをよく見かけます」

「セナがF1とモータースポーツの世界に与えた影響は計り知れないものです。セナの象徴的なホンダNSXは、スポーツ史に残る稀有な一台を所有するチャンスであり、友人、家族、地域の人たちの間で話題になること間違いありません」