静岡県が浜松市中央区の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場を巡り、県議会建設委員会は1日、国の事業認可の前提となる基本計画案を了承した。県は近く計画を策定・公表した上で、浜松市と共に新たな協議会を立ち上げ、エリア全体の利活用構想や費用負担などの検討に入る。曲折をたどった県の大型プロジェクトは建設に向けて前進する。
 県は2024年度中に、都市公園法に基づく事業認可取得を目指す。一方、賛否がある野球場の規模・構造については屋外型2案と多目的ドーム型の計3案を併記し、1案への絞り込みは先送りした。用地取得と並行して絞り込み作業を進める。
 協議会の新設は鈴木康友知事が提唱した。県と浜松市で構成、運営や集客にノウハウを持つ民間企業がオブザーバーとして参加する見通し。県市の役割分担や費用負担、整備区域、事業手法などを協議する。必要に応じて基本計画を修正する可能性もあるとしている。
 基本計画案で示した野球場の規模・構造は①1万3千人(愛鷹球場相当)の屋外型②2万2千人(草薙球場相当)の屋外型③地元の建設促進期成同盟会が要望する2万2千人の多目的ドーム型−の3案。PFI(民間資金活用による社会資本整備)事業の成立が見込めることに加え、既存の県営球場とのバランスを考慮した。
 近くで産卵するアカウミガメに影響を及ぼさないよう、屋外型の2案は照明設備を設けない。概算事業費は70億〜370億円、大規模改修費を除く年間維持管理費は5千万〜1億3千万円。鈴木知事が知事選でコスト縮減策として訴えた開放型ドームは明記していない。施設の完成時期について、県は「現段階で正確に示すことは困難」としている。