巨人・萩尾匡也とヤクルト・村上宗隆は同郷の熊本県出身で、萩尾にとって村上は1学年先輩。

 萩尾が文徳高校、村上が九州学院高で2017年夏の熊本県大会準決勝で対戦したことがある。文徳高1点ビハインドで迎えた9回二死で、打席に入った4番の萩尾は、当時捕手として出場していた村上に“お前、絶対打たせないからな”とマスク越しに言われたことを今でも覚えているという。その後、萩尾は打ち取られ、文徳高は準決勝で敗退した。

 あの夏から7年が経った。村上は22年に三冠王に輝くなど球界を代表スラッガーとなり、萩尾は高校卒業後に慶応大に進み、22年ドラフト2位で巨人に入団。萩尾は今季、開幕から一軍のレギュラーを目指し奮闘中だ。

 同郷村上と実際に今シーズン、同じ舞台で、プレーしていることについて、どう感じているのだろうかーー。

 「高校の時はいち熊本の高校のライバルという感覚でした。そこから、僕が大学にいる間に、坂本勇人さんのようなそういう感じのスター選手になられていたので。今振り返ってみたら同じ地区でやっていた事が不思議というか。自分がプロの舞台に来られたんだなと改めて感じることはできますけど。でも正直、嬉しいですね」と話すと、少し考えた後
「いや、でも正直嬉しいですね」と噛み締めるように言った。

 「そこはやはり熊本の人たちが凄く期待していた部分でしたし。同じ舞台でやることは、目標にしていたので嬉しいんですけど、別にだからといって負けたくない、というのはないですね。それこそ、おこがましいというか。自分と村上さんを一緒にしてしまうのは申し訳ないです(笑)」。

 プロに入ってからは「去年1軍に上がった時に挨拶に行けていなくて。それで、今年の鹿児島での試合前(4月9日)に挨拶させていただいて。その時に村上さんの方から『この舞台で一緒にやれて嬉しいね。』と声を掛けてもらって、それは鮮明に残っていますし、嬉しかったですね」と明かした。

 「今は与えられた打席、全力でやるしかないです。タイトルや数字を求めている様な感じではないので、目の前の事を全力でやる方が大事かなと思います。」。村上のようなチームを、そして球界を代表するプレーヤーを目指し、目の前に集中していく。

取材=ニッポン放送アナウンサー・大泉健斗