チーム事情にスタメン出場は激減しているが、中村晃の“価値”は変わらない

 今季から新たな役割を担っている鷹の仕事人が、勝負強さを示している。4月17日の日本ハム戦(エスコンF)。1点を勝ち越した延長11回表、なおも二死一、三塁のチャンスで、中村晃が中前適時打を放って貴重な追加点をたたき出した。直後に守護神のR.オスナが珍しく2失点して試合は惜しくも引き分けに終わったが、この試合終了時点での中村晃の得点圏打率は5割。開幕から「代打の切り札」を任されている17年目のベテランが、無類の勝負強さで好調なチームを支えている。

 2014年には最多安打のタイトルを獲得し、一塁手としては20年から4年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得するなど、長くレギュラーとしてチームを支えてきた。だが、4年ぶりのV奪還へ向けてオフに大型補強を敢行した今季のチームには山川穂高とA.ウォーカーが加入。一塁のポジションこそ四番の山川に明け渡す形にはなったが、小久保裕紀監督から「何であろうが必要であることは間違いない」と非常に厚い信頼を寄せられており、開幕から代打の切り札としてここ一番での打席を任されている。

 1点差で勝利した4月6日の楽天戦(楽天モバイル)では、代打として9回二死二塁の好機で左前適時打を放ち、一塁ベース上で両拳を握りしめて珍しく雄叫びを挙げた。また、今季初スタメンとなった12日の西武戦(ベルーナ)では、同点に追いついた8回に元同僚の甲斐野央から決勝適時打をマーク。「勝負どころなので、ちょっと代打っぽく、というイメージでいきました」と事もなげに話したベテランが、チームのために唯一無二の活躍を見せる。

写真=BBM